ヘルズインフェルノ
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じい爆音が響き渡っていた。戦闘の最中、ライマーの炎が周囲を火山並みの高温にしたせいで車の燃料が気化、更にそれが引火してガス爆発を引き起こしていたのだ。それによって多数の車が上空に吹き飛び、フェイトが戦っている場所にも例外なく降り注いできた。
リニスの説得に固執していたフェイトもこればっかりは意識をおろそかにする訳にもいかず、網の目を潜るかのように正確に、かつ不規則で素早く避ける。ミッド式ゼロシフトに加えて車の燃えていない部分を踏み台にするという手段も用い、とにかくその時々に応じた手段でフェイトは避け続ける。が―――、
「―――ィィィ!!!」
飛来物など意にも介さず―――否、そもそも認識すらしないリニスは回避に専念しているフェイトへ一直線に飛び掛かってくる。辛うじてバルディッシュでクローを受け止めたものの、勢いまでは相殺できず、鍔迫り合いで後ろに下がっていく内に炎上している車に背中が着き、逃げ場をなくしてしまった。しかし―――フェイトの目に諦めの色は無かった。
「(私の動きを封じた事で、リニスも動けなくなった。チャンスは今しかない!)お願い! 目を覚まして!!!」
一発だけカートリッジをロードしてクローを一瞬押し返したその時、フェイトはマキナが“落としてくれた”注射器をリニスの首元に刺し、薬を注入した。
「ッ!!???!!? グ、グギャァァァァ!!!!!!!!!」
体内に異物が入り込んだせいか、耳をつんざく悲鳴が異形の口から発せられる。全身で暴れ回るようにのた打ち回るその姿はまるで、地獄の業火に焼かれる罪人のようでもあった。凄まじい苦痛を訴えている姿を前に、フェイトはただ茫然と見つめる事しか出来なかった。しかし……微かに聞こえた声に彼女は反応した。
「――――て――――」
「え?」
「――こ――――て―――――」
「な、なんて言ってるのリニス? 声が小さくてわからないよ」
そして注意深く耳を澄ませたフェイトは、受け入れ難い言葉を耳にしてしまった。
「――――殺して」
「!」
「―――死にたい―――消えたい―――眠りたい―――楽になりたい―――噛みたくない―――斬りたくない―――飲みたくない―――食べたくない―――殺したくない―――だから早く―――
―――殺してください」
その言葉に込められた悲しみ、その言葉を言うに至った絶望、その言葉を伝えられなかった無念、果たしてそれはいかほどのものなのか、人間には理解のしようがなかった。
これまでの所業に対する罪悪感、屈辱、逃避、拒絶、全てがリニスの“取り戻させられた”心を木端微塵に打ち砕いた。
「い、いやだよ……なんでそんな事を言うの……? もう苦しまなくていいんだよ……なのにどうして……!? こ、こんなはずじゃ
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