第三十二話
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熱弁し始めた。
「私たち《COLORS》は、ダンジョン内に潜ってお宝をかっさらい、それを攻略組や中層プレイヤーに売りつける商人ギルドなのよ!」
ババーン、という効果音が聞こえてきそうな叫びだった。
なるほど、それで商人ギルドなのにダンジョン内にいたのか。
「私がリーダーの《アリシャ》! 武器はないわ!」
「……はあ!?」
今こいつはなんて言った!?
ダンジョン内に潜っている筈なのに武器が無い……?
「やっぱり驚くわよねぇ」
壁にもたれかかってワイングラスで何かを飲んでいる女性から、クスクス、と忍び笑いが漏れた。
「私はスキルスロットに全部商人系と便利系で埋めてあるから、戦闘スキルは空いてないのよ」
商人系スキルというのは言わずもがな、便利系とは《索敵》や《聞き耳》スキルのことだろう。
そういうスキル振りをしている人間は当然いるが、ダンジョン内に行くのにそんなスキル振りをしているのは聞いたことがない。
「強いて言えば、私の武器はこの大切な仲間たち。それを大切に使うのが私の戦いよ」
そういえば、ダンジョン内でアリシャは仲間たちの指揮に専念していた。
武器もなく、《索敵》や《聞き耳》スキルなどの便利系スキルで仲間たちの指揮を行う……こんな、イカレた戦い方があったとは。
「それじゃ、まずは副リーダーの《ヘルマン》!」
「……ヘルマンだ。武器は両手矛」
先のダンジョン内の戦いでは、しんがりを務めて最後に助けてくれた眼帯の青年。
最低限のことを言ってもくもくと料理を食べるその姿は、物静かを通り越して無愛想であったが、不思議とそこにいるという、落ち着いた存在感がその青年にはあった。
「次は、全身真っ赤な趣味の悪い仲間の《クラウド》!」
「るっせぇぞアリシャ! ……まあ、お前がくだらない自己紹介をしている間に料理は全て俺が食い尽くしてやったがな!」
「ああーっ!」
机の上にあった山のような……は流石に言い過ぎではあるが、結構な量の料理が騒がしい真っ赤な少年の胃袋に納められていた。
先のダンジョン内での戦いでは、大剣を用いて大量の《モスブリン》をなぎ倒していた。
「おいテメェ。さっきは結果的に助けてもらったけどなぁ、あの程度の状況なら俺一人でなんとか出来たんだからな!」
真っ赤な少年……クラウドが俺に詰め寄り、チンピラのように喋りかけてきた。
……そう問われれば、こちらも反撃とばかりにニヤリと笑って返さねばなるまい。
「見るからに駄目そうだったじゃないか?」
「ぐっ……これから逆転する予定だったんだよ!」
クラウドが残っていたジョッキの中身をがぶ飲みし、更に騒ぎ始める。
やけ酒ならぬやけジュースであろうか。
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