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Three Roses
第九話 若過ぎる死その十二
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「駄目でしょうか」
「お言葉ですが」
 すぐにだ、ロドネイ公がマリーに畏まって申し出た。
「若しマイラ様が女王になられますと」
「旧教徒の王が出てですか」
「危ういです、そしてです」
「さらにありますか」
「王家の常ですが」
 この前置きも置いてだった、ロドネイ公は自身の主にこうも話した。
「王位を争いです」
「そのうえで、ですね」
 マリーもそのことは知っていて言う。王家の姫の中でもとりわけ聡明であるという話は嘘ではないということだ。
「王位に就いた方が」
「我が国でもありました」
 王位を巡る血生臭い話がというのだ。
「幼い王が弟君と共にお姿を消された」
「そのお話ですか」
「他にもあります、特に王位に就かれた方が」
「その玉座を脅かす方を排除していく」
「ありましたので」
 それでというのだ。
「マリー様もです」
「気をつけるべきですか」
「はい」
「では」
「大公にお話しましょう」
 デューダー卿が言って来た。
「ここは」
「叔父上にですか」
「はい、そうしてです」
「私の身の安全をか」
「確かにしましょう」
 こうマリーに言うのだった。
「具体的にはです」
「若しや」
「そうです、王に何かあれば大公が王となられますが」
 言葉には出さなかったが今の王が長くないことは頭に入れている。そのうえでマリーに対して言っているのだ。
「その時にです」
「私もですか」
「共同で王になりです」 
 こうした制度があるからこそというのだ。
「そしてです」
「姉様をですか」
「そうされては」
「出来ないことです」
 マリーはデューダー卿のその言葉、剣や毒を匂わせる提案にこう答えた。
「とても」
「そう言われますか」
「姉様なのです、血を分けた」
 例え母親は違えどというのだ。
「ですから」
「ならばです」
 デューダー卿はマリーがそう答えると思っていた、それですぐにこう代案を出した。
「あの方を帝国にです」
「行ってもらう様にですか」
「すべきでは」
 こうマリーに言うのだった。
「ここは」
「そうですか」
「はい、大公にお話しますか」
「そうですね」
 マリーはデューダー卿の言葉を聞いた、だが。
 マリーは即断即決ではなく熟考する性格だ、その末に出した答えが実に思慮深い的確なものなので王も大公も頼りにしている。
 それでだ、今もこう言ったのだ。
「考えさせて下さい」
「今すぐにではなく」
「はい」
 まさにというのだ。
「そうさせて下さい」
「それでは」
 デューダー卿も頷いた、そしてだった。 
 マリーは今は考えることにした、そのうえで他の政策についても考えていった。だがこうしている間にも時と状況は常に動いていた。
 

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