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陸軍兵士が誤って海軍鎮守府に移籍させられてしまったようです
海上戦終幕
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事をしてからワイシャツを脱ぎ、前に巻いてもらった包帯を外していく。どちらも傷口付近は血を吸い込んで真っ赤だ

「ふむむ...前より酷くなってますね」

「少し無理に動きましたからね」

背中の傷を見るため後ろに回った電は開いてしまった傷口に優しい手付きで触れてくる。暖かな掌が傷を摩るように触れる度ジンジンとした痛みと共にネチャリと粘着質のある音が耳に届く。痛みからも前より酷くなってしまっているのは分かっていたが触れられただけで痛みが走る程酷く開いてしまっているとは思わなかった

「少し動かないで下さいね...」

「っ!」

触れていた暖かい感覚が離れると代わりにヒンヤリと湿ったものが背中に当てられる。手当てという事を考えると消毒液だろう。ただ、傷が傷だけに染みる痛みも普段より大きな曇った声が漏れてしまった

「だ、大丈夫ですか?」

「吃驚しただけですから大丈夫ですよ。続けてください」

俺の漏らした声に一瞬電の手が止まるが続ける様に促す。どうにも消毒液が傷口全体にゆっくり広がっていくジクジクとした痛みは何年経っても慣れない

「後は包帯を巻いて...これで大丈夫なのです」

「..ありがとうございます電さん」

消毒を終えると前と同じ様に包帯を巻かれ最後にキュッとキツくないくらいの強さで結ばれる。包帯で圧迫されて先程より痛みはない。

「今度はちゃんと安静にしてないとダメなのですよ?」

「(依頼が来なければ)そうするつもりですよ」

心中で言葉を付け加え、苦手な笑顔を顔に貼り付ける。依頼めいれいは絶対である以上負傷していたとしても受けなければならないのが貸出兵。電の心配はありがたいが安静にできる保証はどこにもない

「響さんそちらは終わりましたか?」

「あぁ、丁度終わった所だよ。と言っても止血して包帯を巻いただけだが」

「十分だよ〜暗闇、肩貸して〜」

自力で立ち上がれない李悠はパタパタと両腕を振り上げ俺を呼ぶ。
まるで駄々っ子だと口元を緩めながら李悠の左腕を肩にかけ立ち上がらせる。治療と言っても艦娘ではない俺達に施せる治療は精々止血や骨を固定する程度。切れた神経や折れた骨は再生するのを待つしかない。

「響さん電さん治療の方ありがとうございました。私達は取り敢えず部屋に戻りますので何かありましたら部屋までお願いします」

「ありがとね〜」

響達にお礼を告げて借りている部屋へ向かう。早いところ部屋に戻って疲労した体を休ませるとしよう


「ただいま戻りました」

「ん?未浪かお帰り。どこいってたんだ?」

扉が開く音につれて聞こえてきた声に机に落ちていた視線が無意識に声の方に動き視界にその姿を捉える。

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