第19話 騒乱
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しない」
黒服の静かな宣言に、町人たちの声がピタリと止まる。そして、次の瞬間。
「うわぁぁぁ! 早く、早くみんな! 町から離れろ! 何かヤバイ気がする!」
「お前ら、走って西の海岸にある避難船へ向かえ!」
「奴ら、何か始める気だぞ! 皆、巻き込まれる前に早く走れ!」
黒服に詰め寄っていた町人たちが黒服たちの様子に何かを察して、一気に逃げの体制に入った。黒服と詰め寄る町人たちの状況を遠目から見ていた人達も、逃げるように言った町人の指示に従って走って、西の海岸を目指し走っていった。
「俺達は、とにかく図書館に向かおう」
「分かりました、提督」「行きましょう!」
町人たちが逃げる出している方向に逆らって、俺達は図書館へ向かって進んでいく。だから、俺達は黒服たちの目にすぐ目についてしまった。
「貴様ら、避難船がある海岸はそっちではない!」
「………」
見つかってしまったけれど、黒服の警告を無視して突き進む。制止する声を聞いても、俺達は速度を上げて走るだけだった。
その直後にパーンという甲高い破裂音が、後ろ側から聞こえてきた。思わず後ろを振り返ると、黒服の男たちが手に持っていた銃が俺達へと向けられていた。
警告するために撃った様子ではなく、確実に当てるために狙いを定めているようだった。
「くそっ、撃ってきやがった! 吹雪に舞風、足を止めるなッ!」
「提督も気を付けて!」
「あっ、提督。また撃ってきたよ!」
更に速度を上げて、発砲する音をいくつか背中に受けながら一気に走り抜ける。
もう声も発砲音も聞こえない距離まで来て、一息つく。
「提督、大丈夫ですか? 弾は当たっていませんか!?」
「あぁ。なんとか、当たらず無事に済んだ」
しかし、避難船が有る方向とは違うという警告を一度だけして、間髪を入れず撃ってくるなんて肝を冷やした。幸いにも、彼等の銃の命中精度が低かったからか、俺達の走りが速かったからなのか、弾は一発も当たらなかったけれど、彼等は躊躇もなく確実に当てようとして狙いを俺達に定めて撃ってきた様子を見ていた。
一度の警告だけで、次の手は銃で撃って止めようとする強引さに、黒服への不信感を抱きながら、最初の目的である状況を確かめるために図書館へ向かって走る。
***
ようやく図書館前に到着した俺達は、その図書館を見てまた驚く。
「提督、コレってヤバイんじゃ……」
「図書館が燃えている……!?」
「お主ら!」
図書館の実情に唖然として目を取られていると、後ろから声を掛けられた。振り返るとそこにはクローバーさんと、見知らぬ女性が立っていた。
そして二人共が、顔や腕が血塗れになっていて酷い怪我を負っている様子だった。
「大
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