第19話 騒乱
[1/3]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
オハラを取り囲む海軍の船。それらの船は主にオハラの西側にある海岸に集中して停泊していたので、その逆側は監視の目が薄くなっていた。その隙を突いて、吹雪に舞風、そして俺の三人は、海兵達に気づかれる事なく無事に上陸できた。
それから走りながら急いで、オハラの町を通って図書館へと一直線で向かっていた。
いつもは西の海岸から上陸して図書館がある道を進むので、こちら側にはあまり来たことが無かった。だから普段のソレを知らないけれど、それでも町の現状から違和感というか尋常ではない様子を感じて取っていた。
ソレを感じたのは走っている最中、町のあちこちで何人かで集まって輪を作り、ヒソヒソと小さな声で話し合っている、という様子を見たからだった。
その普段の様子とは違っているであろう今の状況は、島を囲む海軍と何か関係があるのだろうか。そう考えながら、更に図書館に向かって走って進んでいく。ただ、町の様子を見ただけでは、何が起こっているのかまでは検討もつかなかった。
「……一体、この島に何が起こっているんだ?」
図書館に到着するまであと少しと近づいた時、道の真ん中で町人達と黒服の人間たちが言い争っている場面に出くわした。争っていると言ったけれど、銃を武装する黒服の方は至極冷静に町人達に何か一方的に指示を出しているだけで、その黒服たちに町民たちが理由を説明しろと詰め寄っている感じだったが。
「町民は直ちに、避難船へと退避せよ!」
「だから、何故俺達は避難船に乗らないといけないんだ!?」
何やら黒服達は、町人を島から出そうと避難船に誘導しているようだ。
黒服達は何者だろうか。黒色のスーツでピシっと決めている彼等。前に見た海軍達とは、着ているものが違うみたいだが、しかし海軍とは無関係では無いと思うんだけれど……。
「この島に居る考古学者達は、世界を滅亡させる計画を企てているという容疑がかけられている! その容疑者達を確保するため、島全域は捜査対象に指定した! 考古学者と関係が無いという者は、直ちに避難船へと向かわれよ!」
あの人達が世界の滅亡を企てている、だって!? 黒服たちの言葉を聞いて、あり得ないと心の中で叫ぶように思った。
考古学者というのは、クローバーさん達の事を指しているんだと思うけれど、彼等がその様な計画を立てている、という情報は信じられなかった。
「あの学者達が、何故そんな容疑を? 彼等は、俺達の島の誇りなんだ! 世界一と言われている図書館に、世界的に見ても優秀な学者達なんだぞ! 彼等に突然そんな容疑をかけるなんて言われたって……!」
「避難船に向かわない者は、学者達の関係者と見なす!」
「だから、俺達が避難船に」
「この助言を無視した場合、その身に何が起きたとしても我々は一切関知
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ