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ラインハルトを守ります!チート共には負けません!!
第四十七話 宇宙艦隊司令長官の交代です。
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人を起用するのだ」

 ざわざわというさざめきが広がった。

「3個艦隊、36,000隻の遠征軍だ。総司令官にはメルカッツ提督を起用する。私は帝都を離れられないという体にしてここに残る」
「しかし、もしも彼らが武勲を建てた時には――」
「その時はその時だ。私は機会を与えた。それをどう利用するかは卿らの腕次第であろう」
「なるほど・・・」

 司令長官は黙認を取ったのだと、集まった者たちは理解した。すなわち戦場でどのようなことが起こったとしても、司令長官は目をつぶると。
 彼らはミュッケンベルガーの公邸を後にし、三々五々それぞれ分かれたが、一部の者はこそこそと密談の動きを見せていた。

 そして、このことはかねて網を張っているアレーナの情報網に引っかかっていたのだった。

 ベーネミュンデ侯爵夫人邸においても、この報告はもたらされていた。先の高級軍人や門閥貴族とベーネミュンデ侯爵夫人は結託し、対ラインハルト包囲網を形成しつつある。

「なるほど・・・あの小僧が宇宙艦隊の司令官というわけか。忌々しいがそれが逆に好機じゃというのだな、グレーザー」

 今日は侯爵夫人の居間はカーテンが明けられ、燦々と冬の陽光が明るく降り注ぎ、あたたかな雰囲気を醸し出している。侯爵夫人の機嫌もまぁまぁである。昨日、皇帝陛下と食事を共にしたからかもしれない。もっともそんなことでベーネミュンデ侯爵夫人のアンネローゼらに対する憎悪は消え失せはしなかったが。

「はっ」

 グレーザーは横に立っている一人の貴族を見た。まるでその者にすがっていると言わんばかりの顔色だ。ヘルメッツ型の髪をした険のある目つきの人間は、他ならぬフレーゲル男爵である。

「侯爵夫人。既に同盟軍にはフェザーンを通じて遠征軍の情報は流してあります。それも過大な編成を。当然同盟軍はそれに見合った迎撃軍を差し向けるでしょう。ミューゼル中将は敵の大軍に飲み込まれ、文字通り宇宙の塵と消える、というわけです」

 フレーゲルの顔に冷笑がうかぶ。そしてそれを見つめるベーネミュンデ侯爵夫人の顔にも何とも形容しがたい喜びの色がうかぶ。

「じゃが、万が一ということもあろう。あの者の用兵ぶりは中々のものと聞く。敵の大軍に対しても奮戦して、武勲を建てるやもしれぬ」
「そうなる前に消してしまえば、武勲など立てる機会はありませんぞ・・・・」

 フレーゲルの声が陰鬱に響く。

「ホホ、なるほどのう。そちは打つべき手は打ってあると見える。よい。そちにまかせようぞ」
「はっ、吉報をお待ちくださいますよう・・・・」

 頭を下げたフレーゲルとグレーザー医師は居間を退出した。

「あのようなご婦人を相手にし続けるとは、さぞ気苦労が絶えない事だな」

 フレーゲル男爵は冷笑を
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