ターン53 鉄砲水と黒騎士の刃
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ても向こう側に入らなかったのは、チャクチャルさんかメタイオン先生当たりの力が作用したんだろうか?今思えば、あの時点でゾンビ化していても不思議じゃなかった。まあ、わからないことをいつまでも考えていたってらちが明かないわけだけど。
「戸締り、よーし……ん?」
軽く引っ張ったり押したりして、ドアが簡単に開かないことを確かめる。次の場所に行こうと背を向けたところで、扉の向こう側からかすかに声が聞こえてくることに気が付いた。万一逃げ遅れた生徒が自力でここまで来たんだとしたら大変なので、ドアにぴったりと耳をつけて何を言っているのか少しでも聞き取ろうとする。つい力を入れすぎたのだろう、ダークシグナーの力を解放することを示す痣がシュルシュルと這うように体を走っていくのが見えた。それと同時に、まるで直接目の前で聞いているかのように外の音がクリアに聞こえるようになる。またこうやって無駄遣いして……デメリットとかあるのかは知らないけど。
『……万丈目く〜ん、そっちはどうだーい?』
『いや、駄目だな。みんなどこへ行っちまったんだろうなぁ、せっかくデュエルしようぜってこの万丈目サンダー様がわざわざ言いに来てやってるってのに』
この声、どうやら話し相手はすでにゾンビ化した翔と万丈目のようだ。よかった開けなくて。そんなことを考えているうちも、2人の会話は続いていく。
『そういえば万丈目君、この体育館って誰か調べたのかい?』
『いや、俺はまだだぞ〜?』
まずい。このままここに立てこもってることがばれたら、ますます外に出られなくなる。確かにこれだけの人数で生活している以上遅かれ早かれどこかで悟られることではあるけれど、いくらなんでも即日はまずい。でも、また僕の判断だけで勝手なことしたら本気で愛想尽かされかねない。
『じゃあさ、少し調べてみようか』
『ああ、そうだな……む、鍵がかかってるな』
『この入口小さい方だし、しょうがないッスよ。もっと大きな入口が、下の階にあったはずッスよ』
『ようし、じゃあそこまで行くか。十代、清明、天上院くーん、一体どこにいるんだー、デュエルしようぜー』
『アニキ〜、デュエルしましょうよ〜』
ゆっくりと遠ざかっていく足音。あのスピードで1つ階を降りて正面の入り口から入ってくるとすると、残った時間はせいぜい5分というところか。僕のする勝手な行動は周りの迷惑になる、でもこんなもの聞いちゃった以上、まさかなかったことにするわけにもいかない。どうする?どうすればいい?
「……」
ちらりと下を見る。急にこんな異世界に飛ばされて、しかもよくわからないうちに外にはゾンビがうろつきまわっているのだ。無理もないことだけど、ほとんどの人影はもう動く気力すらないかのようにぐったりと座り込んでいる。もしここに
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