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遊戯王GX〜鉄砲水の四方山話〜
ターン53 鉄砲水と黒騎士の刃
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たちもそのことはよくわかっているが、それでもどうにもできない自分たちを悔やんでいるようだ。なら、僕がするような下手な慰めはかえって迷惑になるだろう。

「……明日香先輩、そろそろ時間だドン」
「そうね。それじゃあ清明、私たちはもう1回見回りに行ってくるから。先に言っておくけど、ついてくるなんて言わないでよ?貴方の体だってもうボロボロなんだから、少しは休みなさい」

 まさに僕も行こうか、と言おうとしたタイミングで出鼻をくじかれる。さすがになんのかんのでもう2年の付き合いになる明日香、よくわかっていらっしゃる。もっともあの連戦がだいぶ堪えているのも確かなので、今回ばかりは無理を通すよりその言葉に甘えさせてもらうことにしよう。

「じゃあせめて、何かあったら連絡してよ。トランシーバー、持ってるでしょう?」

 僕が最初にこの校舎に入った時も使ったトランシーバーを軽く振って見せると、剣山も頷いて自身の着ている改造学生服の胸ポケットを指し示す。

「んじゃ、月並みだけど……2人とも、気を付けて」
「わかってるドン」
「ええ」

 慎重に少しだけ扉を開き、開閉の瞬間を見ているゾンビがいないかどうか確かめる。幸い誰もいなかったらしく、同時に頷くと用意してあった台車を押して出て行った。多分、いざとなったらあれのパワーで多少強引に蹴散らしてでも逃げるつもりなんだろう。何回かやっていた、というだけあって手慣れた様子だったけど、だからといって彼らの危険度が減ったわけではない。なにせ敵は何度倒してもすぐ起き上がってくるうえにデュエルの音を聞きつけてぞろぞろ集まってくる、1度でも捕まったらほぼアウトと見て間違いないであろう相手だ。

「よっ、と……」

 最初は寝直そうかとも思ったが、いくらなんでもすぐそばで友人が頑張ってるのに自分だけぐーすか寝てるのは性に合わない。かといってまたいらんことをしたりしたら今度こそ取り返しがつかないレベルの大惨事を招きかねないので、あまり大がかりに動くこともできない。幸い、ずっと寝てたのがよかったのか体力にもとりあえずデスデュエル1〜2回分ぐらいはできるほどの余裕がある。せめて、戸締りの確認ぐらいはしておこう。なにせここは体育館、非常口や観客席まで考えると意外と出入り口になるような場所は多い。1か所でも鍵を付け忘れている場所があったら、それこそ大惨事だ。あの2人がそんな単純なミスを起こすとは思えないけど、こういうのはいくら確認したって減るものじゃないし、なにより何か動いてないとこっちが落ち着かない。
 2階に上がり観客席から下を見下ろすと、なまじ場所が広いこともあって余計にそのスカスカ感が目立った。こっちは力尽きればゾンビになるのに、向こうを正気に戻す方法がわからないっていうのは、だいぶ厄介な話だ。僕が気を失っ
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