ターン53 鉄砲水と黒騎士の刃
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ようやく目が覚めたときには、簡易ベッドの上に寝かされていた。
「うっ……」
最初に感じたのは、やたらと全身が砂っぽいことだった。口の中はじゃりじゃりするし、服や靴の中も細かい砂粒のせいでこそぐったいというか、気持ち悪い。ウラヌス戦の後も雑魚無双とはいえ連続で戦ってきたからだろうか、全然気づかなかったけどこんな砂まみれだったのか。
「清明先輩、起きたのかドン」
「清明……」
「剣山、それに明日香……おはよ。目覚めは最悪だけどね」
それから話を聞く限り、どうも剣山たちが体育館の入り口前でやたらとノックする音がするのでゾンビでないことを確認してから開けてみたところ、その場に倒れてる僕を発見して慌てて運び込んだらしい。ありがとう霧の王、とデュエルディスクに差したままのデッキを軽く撫でて感謝を伝える。
「でも、無事に会えてよかったザウルス」
「まったく。それで、今無事なのってここにいる分で全員なの?いくらなんでも少なくない?」
だだっ広い体育館には、トメさんたち生徒以外の人員を含めてもせいぜい30人ほどしかいない。ここに来た時の人数が100人近かったことを考えると、僕が見てきたよりも事態は深刻なようだ。
「このゾンビ化現象は、本当に突然起こったの。ゾンビになった生徒にもある程度の知能はあるから、校内放送で体育館が拠点です、なんて呼びかけるわけにもいかないし……だから私と剣山君で、まだ学内に取り残された生徒たちの回収を何回かに分けてやってる最中なのよ。ごめんなさい、本当は貴方も迎えに行きたかったのだけど」
「いや、気にしないで。多少無茶はしたけど、僕ならどうにかなったわけだし……それより、十代達は?それにレイちゃんもいないっぽいけど」
悪気があったわけではないが、そこはあまり聞いてほしくない部分だったらしい。目を逸らしながらも、まず剣山が口火を切る。
「十代のアニキたちは、まだ帰ってきていないドン。あと数分もしたらまた学校中を他の隠れた生徒を探しがてら探ってみるザウルス、けど……」
そこまで言って、急に言い淀む剣山。その言葉の後を、目を逸らしたまま明日香が引き継いだ。
「レイちゃんは鮎川先生と一緒に保健室にいるはずなんだけど、あの辺りは特にゾンビの数が多いのよ。何回か近寄ろうとはしたんだけど、そのたびに10人以上に見つかったからそれを振り切って逃げるのに精一杯で」
「そんな……」
レイちゃんのように昏睡状態でも、あのデュエルゾンビにはなるのだろうか。ならないならならないで傷の手当てを早くしないといけないけど、もしなるとしたらあの怪我のまま校内を彷徨ってデュエルを仕掛けるようになってしまう。ただでさえあんなひどい怪我なのに、そんな無茶をする体力が彼女に残っているとは思えない剣山
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