七話:恋する乙女
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ンヌとアストルフォは大丈夫かとメイブに目を向けるが間一髪のところでクー・フーリン・オルタが彼女を助け出したので安心してついていくのだった。
「無事か?」
「く、クーちゃんが私を…! もうこれは運命ね! クーちゃん結婚し―――」
「―――断る」
後ろの方でそんなやり取りが行われていたが三人共振り返らず食品を籠に入れていく。
結局のところクー・フーリン・オルタの尻尾が棚に引っかかった為の事故だったらしい。
因みに、後で店に怒られ並べ直したらしいがメイブは初めての共同作業と喜んでいたとか。
『後は卵と牛肉と醤油、それとお菓子は一人300円までだって』
「あ、じゃあボク、卵を持ってくるね。それからお菓子」
「では、私は牛肉を。アストルフォ、貴女は先にお菓子の方に行かないように」
「ぶー、それぐらいわかってるよ」
『じゃあ、俺は醤油を』
時間をかけても仕方がないので残りの食材は三人で手分けすることにする。
手にぶら下げた籠とは反対の手にメモを見ながら調味料コーナーに向かう。
『メーカーまで細かく指定するなんて……やっぱりこだわるなぁ』
料理には妥協はしないという意思がひしひしと伝わる文字を眺めながら目当ての品を探す。
『あった』
見つけた商品はエミヤ以外にも人気があるのか後一つとなっていた。
一先ず見つからないということにならず良かったと息を吐き商品に手を伸ばす。
しかしながら、彼の手は商品ではなく別の物と触れ合うことになった。
『「あ…」』
触れ合う柔らかな手。驚いて隣を見るとそこには着物を着た両家のお嬢様のような娘がいた。
相手も驚いているらしく金の瞳をパチクリとさせていた。
その間にぐだ男の脳内にはどうするべきか選択肢が展開される。
自分の物だと強引に奪うか、相手に譲るか。
だが、片方の選択肢はあってないようなものだった。
『どうぞ』
醤油を手に取り少女に渡す。
少女はぐだ男と醤油を交互に見て困ったように尋ねる。
「よろしいのですか、それでないとダメなのでは?」
『いいよ、別に。頼んだ人も話せば分かってくれるし』
そう話しながら値段と味が良さそうな別の醤油を籠に入れる。
「……お優しいのですね。それに“嘘”でもありませんし」
『そうかな? でも、良いことをした気持ちになれたからありがとう。それじゃあ』
少女と別れジャンヌとアストルフォを迎えに行くぐだ男。
故に彼は気づくことがなかった。
少女が獲物を見定めた蛇のような瞳をしていることに。
「あの優しさ……間違いありませんわ。やはり、あの方こそ―――ぐだ男様」
少女、清姫はうっとりとした表情
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