七話:恋する乙女
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欲しけりゃ買えばいいだろ」
「そういう返しが欲しいんじゃないんだけど、クールなクーちゃんも素敵だわ!」
「……疲れる」
スーパーに辿り着いた三人が初めに見たものは二人のカップル。
ではなく、一人の男にベタ惚れしている女性とそれを雑に扱いながらも拒まない男だ。
『……逆方向から回ろう』
「あ! 誰かと思ったらぐだちゃんじゃない! 両手に花なんてやるわね」
逃げようとしたぐだ男だったがあっさりとメイブに見つかり手を振られる。
大学生である彼女は入学と同時に同じ大学のクー・フーリン・オルタに一目惚れする。
しかしながら、何度告白しようとそっけなく断られるだけらしい。
「いいわねー。私もクーちゃんと出会う前は良くイケメンハーレムを作ったものよ」
「い、イケメンハーレム……」
メイブの言葉に顔を赤らめながら引くジャンヌ。
そんな様子にメイブは楽しそうにジャンヌに詰め寄る。
「興味ある? 強くてカッコイイ男が自分によがる様って最高よぉ」
「け、結構です。そもそもそういうことは不埒です。主が許されません!」
「ふーん。だってよ、ぐだちゃん」
慌てながらもしっかりとメイブの言葉を拒絶するジャンヌ。
その言葉にメイブは意味あり気な視線をぐだ男に向ける
『どうしてこっちを向くんですか?』
「別にー。ぐだちゃんもどっちつかずじゃダメよってこと」
『この上なく説得力がない!』
「うふふふ、恋多き男は素敵よ。でも、一途な男はもっと素敵よ」
まるで現在の心境を見透かされたような瞳に罪悪感がぐだ男の胸に押し寄せる。
メイブは最後に軽くウィンクを残しクー・フーリン・オルタの元に戻ろうとする。
「て、クーちゃん置いてかないでー!」
しかしながらクー・フーリン・オルタは彼女を無視して一人で進んでいる。
完全に邪険に扱われているがメイブはめげることなく駆け出していくのだった。
恋する乙女とは恐ろしいものである。
「変わった人だね」
『うん。通称、101回振られたメイブ』
「な、なんというか……そこまでいってめげない心は逆に尊敬しますね」
三人でメイブという女性について話をしながら立ち去ろうとする。
だが、どういうわけかそのメイブ自身が鬼気迫る表情でこちらに走って来ていた。
そして、その後ろには―――
「チーズは嫌いなのよー!!」
―――雪崩のようにチーズが押し寄せて来ていたのだった。
『牛乳はともかく、ジャガイモにニンジン、玉ねぎ……カレーでも作るのかな』
「ぐだ男君、現実逃避しないでください」
『でもオニキがいるから大丈夫だよ』
ぐだ男は特に気にすることなく背を向けて野菜売り場に向かう。
ジャ
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