第三十三話 明治の中でその八
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「そうしません?」
「二人でなの」
「どうですか?」
「さっき行ったけれど」
私はどうもというお顔で阿波野君に答えました。
「何処も」
「大体の場所はですか」
「ええ、もうね」
「けれどですね」
阿波野君はいぶかしむ私にまた言いました。
「先輩お一人ですよね」
「ええ、そうよ」
何を言っているのかしらと思いながらです。私は阿波野君に返しました。
「お友達とだけれど」
「そこをなんですよ」
「二人で行こうっていうのね」
「そうしません?」
「ううん、何か気になることがあるけれど」
それでもとです、私は阿波野l君にまた言いました。
「いいわ、それじゃあね」
「二人で色々回りましょう」
「そうしましょう」
どうにも阿波野君のリードのままです、私は明治や大正の場所以外の場所も二人で回ることにしました。
それで日本橋や町、奉行所も回ってです。
その奉行所のお白洲のところで、です。クラスの皆と会いました。すると皆私じゃなくて阿波野君を見て言ってきました。
「あっ、ちっちもねえ」
「そういうことね」
「そういえばそんなこと言ってた?」
「後輩の娘がどうとか」
「何言ってるの?」
私は皆の変に暖かい感じの目に笑顔で応えました。
「一体」
「だからよ」
「その子と一緒にいるってことは」
「結構楽しくやってたみたいね」
「よかったじゃない」
「あのね、違うから」
私は皆にむっとした顔で返しました。
「この子ただの後輩よ、同じ大教会所属ってだけで」
「そうよね、同じ大教会だとね」
「何かと会うしね」
「それで、ってこともね」
「あるしね」
「だから何言ってるのよ」
段々お話がわからなくなってきました。
「ただ同じ大教会なだけよ」
「そして同じ高校でね」
「先輩後輩」
「何かちっちがお姉さんみたいよね」
「私弟いないし」
またです、私はむっとした顔になって言い返しました。
「妹は二人いるけれど」
「はい、僕も弟はいますけれど」
阿波野君が言ってきました、こんなタイミングで。
「お姉さんもいいですよね」
「いらないわよ」
阿波野君にもむっとしたお顔で言いました。
「私は」
「まあまあ」
「まあまあじゃないわよ」
自分でももっとむっとしたお顔になるのがわかりました。
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