暁 〜小説投稿サイト〜
Blue Rose
第二十話 小さくなる身体その四

[8]前話 [2]次話
「だからね気にしないでね」
「けれどそれは」
「いいんだよ、とにかく今日はだね」
「はい、外出出来るなら」
「行くね」
「お願いします」
「じゃあ今から行こうか」
 岡島は微笑み優花に話した。
「長崎の街までね」
「今からですね」
「行こうね」
「それじゃあ」
 こうしてだった、優花は岡島と共に長崎の街に出ることになった。岡島は彼を自分の車に乗せてだった。
 そしてだ、ドライブしつつ助手席の優花に言った。
「ここはね」
「何処に行くんですか?」
「長崎の街に行くけれど」
「長崎のですか」
「具体的に何処に行きたいかな」
「そうですね、グラバー園ですか」
 少し考えてからだ、優花は岡島に答えた。
「あそこに」
「わかったよ、じゃあ行こうね」
「あそこ奇麗ですよね」
「うん、僕もよく行くよ」
 そのグラバー園にというのだ。
「ここに来てからね」
「そうなんですね」
「君の言う通り奇麗な場所だからね」
「だからですか」
「あそこは蝶々夫人の舞台なんだよ」
「あそこをモデルにしてですね」
「そう、蝶々さんの家が考えられたんだ」 
 グラバー園のその場所がだ。
「そうしたところなんだ」
「そうらしいですね」
「だからあそこに三浦環さんの像もあるんだ」
「戦前の有名なオペラ歌手ですね」
「日本人のね」 
 日本で最初に世界的な名声を得たオペラ歌手だと言われている、その歌唱は今もCDに保存されていて聴くことが出来る。
「蝶々夫人を当たり役としていたよ」
「日本人だからですか」
「そう、役を回してもらってね」
「それで歌ってたんですね」
「そうだよ、じゃあグラバー園に行って」
 そしてとだ、岡島はさらに言った。
「それから中華街にも行こうね」
「中華街にもですか」
「これは僕の好みだけれどね」
「中華街はですか」
「うん、あそこ大好きなんだよね」 
 顔を綻ばせての言葉だった。
「料理が美味しいから」
「特に長崎ちゃんぽんですね」
「そうそう、あれとカステラはね」
 それこそというのだ。
「最高だね」
「両方共お好きですか」
「カステラもよく食べるんだ」
「そういえば療養所のおやつによく出ますね」
「うん、君によく出してるよね」
「ここに来てもう二回出ましたね」
 まだ入って少し経った位だがというのだ。
「カステラは」
「僕が選んでるんだ、おやつは」
「好きだからですね」
「君にも出すことになってるね」
「そうだったんですね」
「流石に食べ飽きるって人もいるけれどね」
 名物だけあっていつも食べるからだ、岡島はこの話は少し苦笑いになってそのうえで優花に話した。
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ