第十一幕 消えたボタンその五
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「あまりしないかな」
「いつも何処かにいるからね」
つぎはぎ娘が言ってきます、観戦役の。
「テニスコートの傍にいることは少ないから」
「そうなんだ、起きたら違う場所にいたりするから」
「テニスをするとなると」
「こうした時だけだよ」
皆と一緒になった時のみというのです。
「だからね」
「そういうことね」
「うん、だから僕はテニスは」
「あまりしないのね」
「今日は久し振りにしたかな」
「その割にはいい動きしてたよ」
ダブルスを組んでいるカルロスの言葉です、カルロスは苺やメロンといったセットの中のフルーツ類を食べています。
「君はね」
「そうかな」
「うん、速くて」
それにというのです。
「スマッシュも的確だったし」
「だったらいいけれど」
「だからね」
「けれど僕ね」
「テニスの経験はないんだね」
「そうだよ」
その通りという返事でした。
「あまりね」
「というかボタンってね」
「僕は?」
「うん、運動神経いいよね」
「そうだね」
王子がカルロスのその指摘に頷きました。
「確かにボタンは運動神経がいいね」
「そうですよね、冒険の時も」
カルロスはボタンと一緒に冒険した時のこともお話しました。
「幾ら歩いても平気だったから」
「体力もあるね」
「運動得意なんじゃ」
いつも寝ているイメージはあってもというのです。
「前からそう思っていたふしはあっても」
「僕寝るのが一番好きだよ」
「いや、それでもだよ」
ボタン本人にも言うのでした。
「君は運動神経あるよ」
「だといいけれど」
「テニスをしても」
また言ったカルロスでした、このことも。
「よかったし」
「若しカルロスがテニスをいつもしていたら」
そのテニスが好きなオズマの言葉です。
「私よりずっと上手だと思うわ」
「ボタンの運動神経と体力なら」
ジュリアも言います。
「男の子ですし」
「私よりもよね」
「お言葉ですが」
「お言葉じゃないわ」
そこははっきりと返したオズマでした。
「当然のことだから」
「当然ですか」
「誰もが何でも一番になれないでしょ」
「一番を目指してもですね」
「得意不得意があるわね」
「はい、確かに」
「私が何でも一番になれるかは」
それは、というのです。
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