俺は愛せる? 幻想郷...
吸血鬼ってこんなん?
第三十話 吸血
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の好きな物をあげると書いてあったんだ。
血くらいくれてやろう。
大の字に腕を広げ、その場に座る。実際に吸血鬼がどうやって血を吸うか知らない。知らないけど、現実の世界で俺が得た知識によれば首だ。邪魔にならないよう腕を広げたのだ。
ちょっとした手違いで殺されても困る。なんの抵抗もしないよう手に拳を作って耐えてみることにしよう。
すると、俺の気持ちが伝わったのか、一度は光を収めた紅い瞳をもう一度紅く光らせ、俺に擦りつくように近づいた。
やってはいけないことかも知れないが、恐怖に耐え切れなかった俺は強く目を閉じた。
彼女の... 式神の..... "吸血鬼"の吐息が近くなったのを感じ、息を止めた。
徐々に徐々に、心臓の鼓動が早くなるのがわかる。
ダメだ。怖い。怖い怖い。怖い怖い怖い怖い怖い!
ピタリ。研ぎ澄まされた感覚神経が何一つ紛れもなく俺に表した感覚だ。働いた感覚は唇。触れたそれは実に生暖かく、それとなく濡れていた。
生暖かく濡れている小さいソレは、口の中へと入っていき開けろと言わんばかりにソレは口の中で動いた。
気がつくと、俺の中にあった怖いという感情は一つ残らず消えていた。それと同時に好奇心が湧いた。何が起きているのだろうか、と。
それと同時に、口の中で動いているソレを舌で探していた。
探し求めていたソレが舌と触れるときには、舌を全開まで伸ばしていたのだ。いまだ目を瞑ったままの俺にはそれしかわからなかった。
何を... やっているんだ...?
次のそれは、感情と考えの整理がつかないうちを狙ってやってきた。
??っ!?
今の現代では言葉にならない感覚。痛みでもなく、快感でもなく、ただ何かが神経と繋がった... そんな感覚。
ここで初めて、俺は目を開けることにした。一瞬の出来事でも、一時間以上もの長さに感じ、気になっていたことを今確かめることができる。
吸血鬼の紅く光る瞳が目の前にある。
そして、今もなお続いている言葉にならない感覚は、全開まで伸び切っていた"舌"からである。
これは恐怖ではない、何故なら、恐怖は遂に先ほど消えたのだ。なら、これはなんの震えだろう。
大の字にも出来なくなり、力を失くして地面に付いているはずの手が震えているのだ。
支えの効かなくなった手が地面を滑らせ、地面に背をつけた。
これが世にいう床ドンというやつか。
よかった、冗談を考える余裕はある。
これ、吸われてるのか。まだ感覚が消えないし、だとしたら今もずっと吸われているんだな。
でも待て、この感覚が舌から来てるということは、舌から吸われているということだろう? でもそうか、昨日の朝もそうだった、穴が開いていたのは舌。この子の吸血は舌からなんだ。もしか
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