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俺が愛した幻想郷
俺は愛せる? 幻想郷...
吸血鬼ってこんなん?
第三十話 吸血
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「ちぃ、ちょうだい」

ただでさえ紅い瞳を紅く光らせ、舌足らずに彼女は喋った。

ちぃ... "血"のことであるのは確かなはずなのだ??だが、念のため。

「その『ち』とは俺達の身体の中を回ってる『血』のこと...だよな?」

こくり。彼女はその身体に等しく、小さく頷いた。
そんなことさっき確かにしたはずだった。なのに、念のため聞いたせいだ。俺は恐怖を隠せなかった。

俺は、目の前にいる彼女??俺の式神、悪く言えば主従関係、良く言えば相棒??から一歩後ずさった。一言で言うなら、びびった、そう言うことだろう。

だって考えてみろ、血をよこせって言っているんだ。何が怖いとかじゃない、そんなもの欲しがるとか、普通あり得ないだろ。
それが目の前であり得てるんだ。怖いに決まっている。

??待て。血だと?

昨日の朝だ。口の中で血の味がした話、舌には穴が開いていた。

『"吸血鬼"って信じますか?』

不意に、博麗ちゃんの言葉を思い出す。

『案外、近くにいるかもしれませんよ』

この目の前にいる彼女が現れたのはいつだ? 一昨日の夜だ。舌に穴が開いたのは昨日の朝...
一般的に吸血鬼は血を吸う。血をくれと言っているやつがいるとする、そいつは確実に吸血鬼だろう。

「最後の質問。お前、吸血鬼か?」

その吸血鬼の主人だというものの、恐怖はまだ消えず、震えそうな声を抑えて質問する。
案の定、彼女は頷いた。
彼女の表情は至って変わらないが、そりゃそうだろ、とでも言いたげな顔... 俺にはそう見えた。

「あ、ごめん。やっぱ最後じゃない、もう一つあった」

雰囲気をぶち壊したくなかった為、言うか言わまいか迷ったが、これも今聞かなければまずいことである。

??血はどれだけ必要か。

この子の性格上??というか舌足らずなところからしてあまり饒舌ではなく、そもそもお喋りを得意としなさそうだが...

「その血ってどれくらい必要なんだ...?」

お前の全部だよ、なんて言われたら違う液体まで吐き出すことになり兼ねないので恐る恐る質問する。
すると、もっとも意外な反応だった。素っ頓狂...?
首を傾げて如何にも頭に大きなハテナを浮かべている様子だった。自分でも量がわかっていない、そう言うことだろう。

「昨日の朝??もしくは一昨日の夜に俺が寝たあとに吸ったんだよな? そのときはどうだった?」

「すこぉ〜し、だけ」

吸血鬼なんて怖い種族に似合わない可愛らしく大人しい澄んだ声に舌足らずな言葉で彼女はそう言った。
少しだけ。要は夜食感覚で食事を楽しんでくれたのか。

「お腹、空いてるんだよな...」

ふと、思い出す。式神の飼い方メモ、何番かまでは思い出せないが、その子
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