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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百三十八話 再起へ
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居間を出た。ユリアンが奥から出て来る。
「ユリアン、奴にちゃんと食事をさせてくれ。それと明日は十時に本部長室へ出頭だからな、遅刻させるなよ」
「はい」
嬉しそうに答えるユリアンをみながら玄関に向かった。まったく、世話の焼ける奴だ。俺はお前の保護者じゃないぞ。大体なんで少将の俺が中将のお前の心配をしなければならんのだ。まったく冗談じゃない……。
宇宙暦796年10月 8日 ハイネセン 統合作戦本部 ヤン・ウェンリー
キャゼルヌ先輩から本部長室へ来るように言われた。辞める前に会いたいということだったが、正直気が重い。出兵前の作戦会議の後に本部長と話した言葉を嫌でも思い出す。
〜ヤン、必ず生きて帰ってきてくれ。ヴァレンシュタイン司令長官に対抗できるのは君しかいない。少なくとも私には君以外思いつかない〜。
〜君には軍の最高地位に就いて貰いたいと思っている。そうなれば彼に対抗するだけの権限をもつことが出来る。今のままでは駄目だ。権限が無い〜。
〜私は君が望まない事を言う。出世してくれ、そして軍の最高地位についてこの国を守ってくれ。帝国から、そして軍内部の馬鹿者達から〜。
本部長の言ったとおり、何とか帰ってきた。一千万人以上を見殺しにして帰ってきた。だがそれだけだ。
味方を見殺しにした私が出世する事は無いだろうし、最高地位に就くことも無いだろう。ヴァレンシュタインに対抗するなど夢のまた夢だ。
本部長室に入ると驚いたことに其処にはビュコック、ボロディン、ウランフ提督が居た。三人ともソファーに座っている。
「ヤン中将、よく来てくれた」
シトレ本部長が執務机から太く響く声で話しかけてきた。本部長は思ったより元気そうだ。表情も暗くない、いや、明るいといって良いだろう、笑みすら浮かべている。
「どうやら揃ったようだ。これから有る人に会うことになっている。貴官達も付き合ってくれ」
本部長はそう言うと席を立ちドアに向かって歩き始めた。ソファーの三人が席を立ち本部長の後を追う。三人とも訝しげな表情をしている。誰と会うのかわからないようだ。私も彼らの後を追った。
本部長が向かったのは応接室だった。通常この部屋は滅多に使われることは無い。大抵の来客、この場合は政治家や企業の有力者だが、彼らは応接室よりも本部長室を始めとする各部長室に通される事を好むからだ。
応接室には誰も居なかった。結構広い部屋で十人分の椅子が用意されている。見るからに高級そうな椅子だ。壁には絵も飾ってあるし置いてある花瓶も高そうだ。父なら喜んで磨き始めるだろう。
本部長は人が居ない事を気にした様子も無く椅子に座った。私達もそれぞれ適当に椅子に座る。
「本部長閣下、一体どなたが此処に来るのです」
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