第十九話 沖ノ島攻略作戦その1
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を中心とした高速艦隊で私たちを追ってきています。」
能代が報告した。金剛型が先陣として配属された理由は、その快速にあった。改装された金剛たちは30ノットを越える速度を出すことができる。このため空母部隊などの護衛としては最適だった。一方、並の敵戦艦では20ノット台が限界だが、重巡ともなれば30ノットを苦も無く突破してくる。
「このままじゃやばいなぁ〜。追いつかれるよ。でも、止まって応戦してる時間はないし、それこそ敵の思うつぼだよね。」
蒼龍が顔をしかめた。それを見ながら金剛は決断していた。
金剛の行足がゆるんだ。
「比叡!」
「はい!」
「私が殿を務めます。あなたは皆を護って榛名たちと合流しなさい。」
「で、でも、それじゃお姉様が皆の人柱になるって――!嫌です!!だったら私が残ります!!私にやらせてください!!」
詰め寄る比叡を金剛はフッと柔らかな笑みを共に受け流した。
「比叡は大げさね。そんなんじゃないです。」
「でも・・・・・。」
「艦隊指揮官として、私は自分の責務を果たすだけ、ネ。」
金剛は片目をつぶって見せた。
「お姉様・・・・。」
「大丈夫。比叡は心配性ネ。私はそう簡単にやられはしないデ〜ス!」
その時、背後で阿賀野の叫び声が響いた。
「敵です!敵、敵、敵が来ます!!やだぁ!!こっち来ないでッたら!!!」
その直後、大音響と共に砲声が響き渡り、砲弾が落下してきた。まだ距離はあるが敵は確実に詰めてきている。
「比叡っ!!」
金剛の叱咤を比叡は嫌々をする子供のように、激しく首を振って拒絶した。
「嫌です!嫌!!私が殿になりますから、姉様は皆を――!」
比叡の口が金剛の左手でふさがれた。
「比叡、どうして私があなたに皆を護る役目を任せたか、わかりますか?」
金剛は残る右手を比叡の肩に静かに乗せた。
「あなたを信じているからです。」
比叡の眼が大きく開いた。
「あなたは私の頼れる妹ネ。あなたに任せる理由はただ一つ。榛名たちと合流するまで皆を守りきることがthe most important thingであり、それをできるのがあなただからです。」
「・・・・・・。」
「比叡、お願い。皆を守り切って。」
一瞬比叡の顔にいいようもない苦渋の色がうかぶ。が、次の瞬間彼女は点頭していた。
「はい。」
比叡がうなずいた時だ。
「敵艦隊、砲撃開始、直撃、来ます!!至近弾!!!」
能代の叫びと共に二人の周辺に水柱が沸き立った。もう敵は有効射程にまで到達してきている。
「比叡ッ!!行きなさいッ!!」
金剛が叱咤し、自らは反転して敵追撃艦隊に突撃していった。
「姉様、姉様、姉様!!!」
比叡は叫びながら、それでも飛龍、蒼龍、阿賀野、能代、夕立をまとめると、全速力で海域を離脱していった。
「高速
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