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艦隊これくしょん【幻の特務艦】
第十九話 沖ノ島攻略作戦その1
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壊、そして帰路を考慮すると、もう少し接近してから艦載機を上げた方がいいと思われます。」
「私も賛成です。」
加賀が乾いた声で添えた。赤城は驚いたように加賀を見たが、彼女は視線をもう水平線上の彼方に向けていた。第一航空戦隊の双璧が二人とも同意見だったことに長門も武蔵も意外そうだったが、渋面を作りながら渋々同意した。
「わかった。ならば全速力で予定海域に急ぐぞ、続け!!」
長門が叫び、各艦娘は白波を蹴立てて進み始めた。
「尾張さん。」
尾張が振り向くと、赤城が鋭い視線を向けていた。
「あなたの意見には賛同しましたが、あなたの口ぶりには賛同できません。」
「そう。フォローしてくれたことには感謝するけれど、それならあなたもあの巨大戦艦と同じというわけね。」
そう言い捨てると、尾張もさっと身をひるがえして走り去っていった。近江はあっと声を出したが、尾張は声の届かないところにまで走り去っている。その後ろに加賀が走っているのを見て、赤城の胸は痛んだ。
「申し訳ありませんでした。」
振り返ると、深々と近江が頭を下げていた。赤城は一人唇を噛んでいたが、それを聞くと表情を和らげた。
「いいえ、近江さんが謝ることじゃありません。すみませんでした。あなたは優しい方なのですね。」
「いいえ、そんな――。」
不意に赤城がくすっと笑った。
「あなたも紀伊さんと同じですね。他の人に対してはとても優しく的確なものの見方をしていらっしゃるのに、ご自分のことになるととたんにうろたえてしまいになる。」
近江の頬が赤くなった。
「ごめんなさい、今は人物評をしている場合ではありませんでした。あなたともぜひゆっくりと話したいものです。でも、今は私たちも急ぎましょう。」
「はい。」
二人はうなずき合うと、先遣隊を追って走り始めた。


1時間後――。
本隊先鋒隊の第一艦隊はついに沖ノ島を目視できる地点にまで進出していた。沖ノ島はさほど高くはない山を東方に据えたテントの様な格好の島である。島の西側は平たんな平野であり、樹木が少なく、さらに起伏が少ない。攻略すれば滑走路を建設することは容易であり、ここを一大拠点として東方に進出することができる。だからこそ、ヤマト側には重要攻略地点であり、敵側にとっては一大守備拠点であるのだが。
 その沖ノ島を守備するかのように点々と黒いゴマ粒の様なものが海上に展開しているのが見えた。
「前方に敵艦隊!!」
比叡が叫んだ。
「数、重巡5、戦艦7、空母3、巡洋艦隊以下多数!!さらに後方に沖ノ島泊地棲姫と思われる巨大深海棲艦を視認!!さらに戦艦棲姫もいます!!」
「思ったほど敵は分散しなかったようだね。」
飛龍が残念そうに言った。
「でも、航空隊の攻撃で敵はだいぶ消耗しているよ。見て!」
蒼龍が指さした方角では敵戦艦多数
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