楽しむ蛇
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としていて、周りが異性ばかりだというストレスから許される程度の我儘の許可を取る位の手のかからない生徒だからだ。強さも今回の件で知らしめた。生徒会長の座を奪い取ることすら可能だ。社交性だってあるし、清濁を飲むこともできる。
なぜ一夏と同じ年代で現れた。一夏と別の年代なら、私だってここまで悩む必要はなかった。優秀な生徒として歓迎しただろう。このまま行けば、恐怖が憎しむに変わる。そしてそうなれば、私はどう動くだろう?
「39.2度。まだ体が完全じゃなかったみたいだな。すまん、オレのミスだ」
熱にうなされている簪の体温を測って落ち込む。クラス代表選の翌日。臨時休校となっていたのが幸いだ。
「ごめんね、迷惑かけちゃう」
「構わないさ。責任の一端はオレにもある。久しぶりに楽しめたからな」
氷嚢を用意してベッドに寝ている簪の額に乗せる。さてと、燻製は分体にやらせるとして本体のオレは暇になる。まっ、前世を思い出すみたいで好きなんだけどな。
「昔を、思い出すね」
「そうだな」
若い頃の無理が祟ったのか、ソーナは同年代に比べると早く老衰した学園も成果を出し、満足してしまっていたのも老衰を早めた。痴呆は来ていなかったが、体は衰え、ベッドに寝たきりだった。その頃にはオレも領地や教師としての仕事を全て子に任せていたので付きっきりで介護をしていた。
「私は、あの頃が嫌いだった。自分では何も出来ずに、ただ元士郎の負担になるだけで、自分に縛り付けているみたいで。見た目も20代のままの元士郎にはまだまだやれること、やりたいことがあるはずなのにって。だから、生きれるだけ生きて欲しいと願った。結局はその言葉が鎖となっちゃったけど」
「結果よければ全て良しだ。生き続けたからこそ、また出会えた。それでいいさ。惰性で生きていたけど、それでもある程度は楽しんでいたさ。特に惑星グルメなんて面白いぞ」
「グルメ?」
「食材が溢れる奇跡の星。あの星の食物以上に美味い物はないってぐらいの星だ。その分、危険も多かった。動物自体はともかく、環境が殺しにかかってくるからな」
「楽しそう」
「ああ、楽しかった。一緒に旅をしていたオーフィスとはそこで一度別れたしな。気に入ったらしくてその星が死ぬまで残り続けた。ああ、惑星グルメで思い出した」
体内の食の記憶からそいつを引きずり出して再現する。
「それは?」
「スノーアップル。惑星グルメで見つけた果物だ。簪が好きそうだったからな」
包丁で半分に切り、半分をウサギに、もう半分を摩り下ろす。摩り下ろすと勝手にシャーベット状になるのがスノーアップルの特徴だ。
「摩り下ろすのが一番だが、簪はウサギりんごが好きだからな」
フォークで突き刺し
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