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ラインハルトを守ります!チート共には負けません!!
第四十六話その2 沸点の限界です。
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のかもしれない。
「兄さんは結婚しないの?」
妹からそう言われたこともあった。これまでにもしばしば彼女の友人を紹介してもらったが、ベルンシュタインは彼女の行為を深く感謝しながらも、
「今はそんな気分になれないんだ。父さんが死んでから・・・・」
「父さんだって兄さんが自分のせいで結婚しないことなんて嫌がるに決まっているわ」
「わかっている・・・。でも・・・・」
つらそうな顔をして顔をそむけた兄に、妹は何も言えず、その日は引き下がっていった。
ラインハルトを倒すまでは、殺すまでは、自分は幸せを求めまいと誓っていた。何かを成し遂げようと願をかける際には、自らに制限を課すことによって、その力を高めるという。ベルンシュタインはそう信じていた。
元々は前世では味わえなかった家族での幸せな暮らしをこの現世でしてみたかった。ただそれだけだった。だが、父親の死によってその歯車は狂い始めた。いや、ベルンシュタインが前世の記憶など持たなかったなら、まだそうはならなかったかもしれない。帝国に、あるいは同盟に生まれていれば、双方と戦争をしていることは当たり前であり、たとえそれで肉親を失ったとしても、憎悪のためにラインハルトを打倒しようという気までは起こらなかっただろう。そもそもラインハルトという人物の存在さえ知らずにいたに違いない。
前世の記憶が、知らず知らずのうちに負のエネルギーを彼の心に充填していた。経営破綻、一家離散、幼少期に過ごした母子家庭の辛さ。それを背負ってここに転生した彼。この現世の父親の死で一気にリミッターが外れてしまったのだ。
もう後戻りはできない。憎悪という負の心を胸に抱きつつ、ベルンシュタインはカフェオレを飲み干した。ブリオーシュは食べられなかった。既に粉々になって皿の上に散らばっていたのだから。
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