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ラインハルトを守ります!チート共には負けません!!
第四十六話その2 沸点の限界です。
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だ」

 父親は急に悪戯めいた目をし、戸棚の後ろをごそごそと探っていたかと思うと、大事そうに紙に来るんだ瓶をトロフィーのように高々と上げた。

「どうだ?帝国歴454年物の白と赤だ。まだ一度だって封を切っていない。私が結婚祝いに父からもらったものだ」

 そんなワインをずうっととっていたのか、息子と飲むために。そう思うとベルンシュタインは嬉しくてしょうがなかった。父は来年退役する。その前に名誉職というか、お情けで駆逐艦艦長にしてもらったが、これとても誰でもなれるわけがない。曲がりなりにも一国一城の主になった父の顔はとても誇らしげだった。

 だが――。

 ベルンシュタインがもし原作だけでなくOVAをも見ていれば、きっとすぐに止めたに違いない。何故なら、第237駆逐隊はあのハーメルン・ツヴァイを残して全滅することになっていたからである。

 そしてこの世界でもそれは起こった。

 エルドラントVが撃沈されたという報告をイゼルローン要塞で受け取ったハーラルト・ベルンシュタインは、震える手をその通知書からしばらく離せなかった。そんな馬鹿な!?父さんが戦死したなどと、信じられない!!今にも帰ってきそうではないか、出立時に置いていった鞄も何もかもベルンシュタインが一緒に暮らしている官舎に残っているのだから!!


 だが、それは現実だった。それを受け入れた時、ベルンシュタインは別の事実も知ったのである。第237駆逐隊にはハーメルン・ツヴァイという艦があり、それに乗っていた10代の若い航海長が生還せしめたのだと。そしてその航海長の名前は――。

「ラインハルト・フォン・ミューゼル・・・・」

 憎悪のこもった声は往来の足音、騒音にかき消された。ベルンシュタインはその忌々しい名前をつぶやき、ブリオーシュを粉々に砕いた。

 元々銀河英雄伝説の原作では彼はラインハルトよりもヤン・ウェンリーを好む傾向にあった。だが、絶対的に嫌いというわけではない。この世界においてもラインハルトと関わり合いはないだろうし、あったとしても自分ごときが相対できる人間ではないことは承知していた。だが――。
 許せない。ベルンシュタイン中将はぎりと口をかんだ。整った若々しい顔が一瞬壮年の前世に戻ったようであった。エルドラントVを攻撃したのは自由惑星同盟であったかもしれない。だが、ラインハルト・フォン・ミューゼルがもしももっと強く主張していれば、ハーメルン・ツヴァイのみならず僚艦も救えたのではなかったのか!?
 それに、忌々しいのは父が、仲間が死んだにもかかわらず、ハーメルン・ツヴァイはまるで英雄のごとく扱われていた事である。同盟艦隊を粉砕したのならともかく、彼らがしたことは敵の所在を通報しただけではないか!!他方戦死した者については何もなかった。敵を
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