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第四十六話その2 沸点の限界です。
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険金が支払われないケースが多い。そこで彼はある方法を思いついた。自殺に見えない方法で死ぬことである。
これについては紆余曲折があったが、一応成功した。意識が飛ぶ寸前まで、彼は残された家族、従業員たち一人一人のことを思い続けていた。
転生した時のことはよく覚えていない。何かに引かれるようにして歩き続けた結果、さぁっと光のカーテンに触れ、気が付けばこの世界にいたのである。銀河英雄伝説の世界だと分かったのは、自分が学生の時に愛読していたその書物のおかげだった。帝都オーディンだの銀河帝国だの、自由惑星同盟を称する反徒共だの、聞きなれた言葉が出てきたからである。
自殺した人間がもう一度人生をやり直していいのか。その思いはベルンシュタイン中将の中にあったが、彼がどう思おうが、時間は過ぎていく。
彼の生まれた家は平民の軍人の家だったから、彼の進路も必然的に軍人になっていった。士官学校卒業、少尉での任官、そして前線での勤務。彼自身はそれでいいと思った。もう自分が何かを決め、経営していく人生は御免だったからだ。軍隊に所属していれば曲がりなりにも上官の指示をこなすだけでよかった。元々手先も器用で要領が良かった彼は上官に気に入られて、早いとは言えないながらも順調に出世していった。
転機があったのは大尉になった時である。この時、父親は少佐として駆逐艦エルドラントVの艦長となって、イゼルローン要塞に着任していた。第237駆逐隊の一艦として。
「どうだ?私も退役したら、一度お前と酒を酌み交わしてみたいが」
ベルンシュタインと父が同時に非番の時があった。久しぶりに一家そろっての夕食の団らんの席である。一人息子、そして9つ年下の妹、父と母の一家四人であったが、仲はとてもむつまじかった。
謹厳な軍人である彼の父は勤務中はおろか、非番の時であっても一度たりとも酒を飲んだことはなかった。元々酒は強かったという。だが、一度酒の上で失態を犯して以来禁酒の誓いを立てていたのだ。そんなわけで、息子が成人しても親子は酒を酌み交わすことはなかった。
「父さんがそういうのなら」
息子は言葉少なに応えたが、本当のところは楽しみでしょうがなかった。彼は前世に置いて早くから父親を亡くし、母親の手で育てられたため、父親がどういうものかをこの銀河英雄伝説の世界に来てから知ったのである。謹厳な父であったが、息子に対する愛情は本物であった。言葉は少なくともその挙動一つ一つが息子への教えであり、愛であった。
「まぁ、あなたったら、いいんですの?そういう約束をして。いざというときになって『やっぱりだめだ。』ではハーラルトが怒りますわよ」
母親はくすくす笑っている。
「なぁに、そんなことはないさ。この時のために、とっておきのワインを保存してあるん
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