第二部 WONDERING DESTINY
CHAPTER#4
DEPERTURES 〜旅立ち〜
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【1】
空条邸の城郭を想わせる大きな正門前。
そこに翡翠の美男子と炎の魔神は佇んでいた。
「今はまだ背中だけですが、」
遠い空を見上げるように、花京院は手に携えたペンダントに語りかける。
「そのうち、アノ薔薇のような 『スタンド』 は……
ゆっくりとホリィさんの全身を覆い尽くす筈です」
「……して、どうなる?」
銀製のペンダントに己が意志を表出させる炎の魔神は、
森厳な声で花京院に問う。
「……スタンドを動かす 「意志」 がない以上、
やがてスタンドは本体のコントロールを離れ勝手に動き出す、
所謂 『暴走状態』 に陥ります。そうなるとスタンドは今以上にホリィさんの
生命を蝕み、精神を逼迫し、その影響で高熱や様々な病を誘発して苦しみ、
最終的には昏睡状態へと入り、
二度と目覚めるコトはなく、死にます……!」
琥珀色の怜悧な瞳に強い意志を宿らせて、
花京院はアラストールにそう告げる。
「む、う……」
改めて切迫した現状を再認識した紅世の王は、
ただ一言そう漏らすのみ。
その二人の傍を一迅の風が吹き抜け、木々の若葉がさざめいた。
しばしの沈黙。
その間に黒塗りのリムジンが次々と空条邸の前に止まり、
中から高貴なスーツ姿の男達が機敏な動きで邸内へと入っていく。
その人々の姿を認めた花京院が、徐 に口を開く。
「今到着した彼等は、これからホリィさんを24時間体制で看護する
S P W財団の誇る熟練の医師達だそうですが、望みは薄いでしょう。
一般の人間には原因不明で何も視えず解らず、どんな名医でも治すコトは出来ない。
そしてボクにも貴方にも、どうするコトも出来ない。
“触れたモノスベテを癒す” 或いは “他者に己の生命を分け与える”
『スタンド能力』 でも無い限り絶対に。
ボクは、過去に自分のスタンドが 「害」 になってしまい
ソレに引き擦られて生命を落とした者を何人か知っていますが、
そのようなスタンド能力を持つ者は一人もいませんでした」
双眸を閉じ何も出来ない自分を悔やむように、花京院はそう告げる。
「だが、奥方の場合は希望が在る……だな?」
その花京院にアラストールは声色を変えず、
確固とした意志を込めて言う。
「えぇ」
青年も王にそう返す。
「その前に、 “彼の地” に在る 『幽血の統世王』 を討滅すれば済む話だ。
彼の者の存在から発する因果の “呪縛” を断てば救われるのだ」
「その通りです。ボクが先程言った症状になる迄には100日かかる。
ソレまでにDIOを斃すコトが出来れば。
逆に言えばDIOを斃さない限り、ホリィさんの助かる術は無いというコトです」
物静かな声で花京院はそう言い、
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