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第二部 WONDERING DESTINY
CHAPTER#4
DEPERTURES 〜旅立ち〜
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居る三者の様子を黙って見据えていたスタンド、
『ハイエロファント・グリーン』 が音もなく滑るように、
空条邸の城郭のような外壁を透化して 「本体」 の処へと還ってくる。
 そしてその 『スタンド』 を操る翡翠の奏者は、
誰に言うでもなく呟くように、静謐な響きで言葉を紡ぐ。
「……ホリィさんという女性(ヒト)は……
本当に、人の心を和ませる女性ですね……
傍にいるとホッとする、そして、温かな気持ちになれる」
 爽やかな初夏の風が、茶色の髪を揺らす。
「こんな時にこんなコトを言うのもなんですが、
恋をするとしたら、あんな気持ちの女性が良いと想います。
護ってあげたいと想える……穏やかで温かな笑顔が見たいと想う」
「うむ。異議を夾む余地無き事象だ」
 ピアニストのように細い指先を揃える掌の上で、
ペンダントが応じる。
「我等も、出立の手筈を整えねばな」
「はい」
 初夏の涼風靡く碧空の許。
 翡翠の青年と炎の魔神は、
それぞれの決意を胸に秘め再び空条邸の正門を潜った。




【2】


 出立の前夜、雨が降った。
ホリィの看護はSPW財団専属の医師達に任せ、
ジョセフはエジプト・カイロ行きの航空チケットの手配と旅立ちの準備に奔走し、
承太郎達は自分の通っている学園に休学届けを提出しに行った。
 学園を代表する3者の余りにも唐突な申し出に、
校内はその土台部分がひっくり返るほど囂然(ごうぜん)と成ったが、
件の3人は無言のまま学園の門を後にした。
 言える事も、遺す言葉も、何も無い。
 これから3人が向かう先は、通常の(ことわり) を遙かに超越した、
異次元世界の流浪の旅路なのだから。
 花京院は、広い空条邸内に無数在る客室に通され、そこで夜を明かした。
 己の裡で静かに()(いず)る決意を、何度も反芻しながら。



“いいのか?”



 DIOを斃す流浪の旅路に自分も 「同行」 すると言った時、
彼は、空条 承太郎は、驚きも戸惑いの表情も見せずただ一言、そう言った。




“いいに決まってる”




 言葉には出さなかったが、花京院は穏やかな微笑と共にそう返した。
 一度は彼に救われた命。
 彼が身を賭して闇から(すく)い上げてくれなければ、
そのまま何の疑問も持たず淀んだ悪の道を突き進んでいた筈の自分。
 後悔はない。
 自分の決断に、そしてこれからの旅路で起こる事柄に。  
 例え、何が在ろうとも――
「一緒に行くよ……何処までも……君の、力になりたい……」
 (しめ)やかな雨音が響く一室で、花京院は静かにそう呟いた。




 シャナは、暗い部屋の一室で佇んでいた。
 旅立ちの朝は
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