機動戦艦ナデシコ
1413話
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もそも木連でどんな法律があるのかも分からない以上、助けるのが正しいのかどうかも分からないが……そんな風に考えている間にも、露天商と少女との言い争いは激しくなっていく。
「いいから、この子のお金を返しなさいよ! そうしたら許してあげるって言ってるでしょ!」
「許してあげるってなぁ……こっちも商売でやってるんだから、そう簡単にはいそうですかって訳にもいかないだろ。それくらいは分かるだろ?」
「あんたがどんな気持ちなのかってのは分からないけど、だからってそれに私達が頷かないといけないって事はないでしょ!」
「ちょっ、ちょっとユキナちゃん。あんまり大声を出すと……」
ユキナと呼ばれた少女が叫んだのが影響しているのだろう。周囲を通りかかっていた大人達が何事かと興味を引かれたように足を止め、露天商の少女のやり取りを眺める。
これで露天商がここから離れれば取りあえず問題は収まる。そう思ったのだが……
「ええいっ! しつっこいぞ! いい加減にしろ!」
ここで侮られると明日以降の商売に影響すると考えたのか、露天商の男はそう叫ぶと近くにあった石を拾い……
「おいおい、幾らなんでもやり過ぎだろ」
その石を少女達に投げつける前に、後ろに移動していた俺が露天商の腕を掴んで止める。
別に今のは瞬動を使った訳ではなく、普通に地面を蹴って移動しただけだ。
ただ、ナデシコ世界の住人にとっては、俺の行動が普通の移動でも瞬動でも大して変わらないかっただろうが。
それにしても驚いたのは、露天商の男が石を投げつけようとした時に近くの通行人達の半分近くが動こうとした事だ。
地球とかでは見知らぬ誰かを助けるような真似はしない方が得だと考える者が多いのだが、この木連は違ったらしい。
結果的に露天商の動きは俺が止めたが、恐らく俺が止めなくても誰かが少女達との間に割って入っていた筈だ。
俺みたいに露天商の動きを止める事は出来なくても、投げられた石を防ぐくらいの事は出来ただろう。
ゲキガン好きの木連の男らしいな。
まぁ、白鳥ユキナと呼ばれたのが少女……つまり女だというのも関係してるんだろうが。
木連は女が少ない。そうである以上、女を大事にするようになるのは当然か。
寧ろ、露天商の方が木連の人間としては色々と問題があったんだろうが。
「ビクリ。え? あ、あの……ありがと」
白鳥ユキナと呼ばれた方の少女が、俺の方を見てそう頭を下げてくる。
「おいっ、離せ! 離せよ!」
「……で、この男はどうするんだ? 出来れば面倒は避けたいんだけどな」
「え? あ、うん。えっと……」
「ユキナちゃん、ユキナちゃん。私はもういいから。このままここにいると、きっとそのお兄さんの言う通り面倒な事になるよ? 行こう?」
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