暁 〜小説投稿サイト〜
転生とらぶる
機動戦艦ナデシコ
1413話
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「いや、今はちょっと急いでるから」
「いやいや、そう言わずに。ほら、少しだけでも見ていってくれよ。これは絶対にお買い得だからさ」

 しつこく声を掛けてくるが、それを無視してその場から離れる。
 今の俺は、いわゆる不法入国者だ。当然何か面倒事に巻き込まれては堪ったものじゃ……

「あー! いた! ちょっとあんた! よくもこの子を騙したわね! 何が最新バージョンのカードよ。どれもこれも、全部古いのばっかりじゃない!」

 少し離れた瞬間、不意にそんな声が聞こえてくる。
 もしかして何かやってしまったか? そうも思ったが、カードがどうこう言ってるのを考えると、今回の件は俺には関係ない筈だ。
 それどころか、こうして騒ぎが起こった場所に俺がいるというのも色々と不味いので、少しでも早くこの場を離れた方がいいのだが……
 そもそも俺の時は激レアとか言ってたのに、今回の問題は最新バージョンなのか?
 多分、以前と今日とで売り文句が違うのは特に意味がないんだろうけど。
 声の聞こえてきた方を見ると、そこには2人の少女の姿があった。
 年齢は13歳前後ってところか? 連れの方も同じような年齢だ。
 片方は茶髪で非常に元気がいいって言うか、気が強そうな少女で、もう片方は黒髪で大人しそうな感じ。

「いやいや、お嬢ちゃん。そんな事を言われてもね。そっちのお嬢ちゃんだって、自分で納得したからカードセットを買ったんだろう? なら、今更何を言われても……ねぇ?」
「ねぇ? じゃないわよ! そもそも最新のカードが入っているって言ってこの子にカードセットを売ったのに、中身が古いのばっかりってのは詐欺よ、詐欺!」
「白鳥さん、私はもういいから……」
「へへっ。ほら、そっちのお嬢ちゃんだってもういいって言ってるだろ? 当事者同士が納得してるのに、関係のないお嬢ちゃんが口を出してくるのは正直どうよ?」

 そのやり取りを聞いて、俺の足が止まる。
 本来なら速やかにその場から離れるのが最善だ。それは分かっている。
 だが……今、2人の少女の内、大人しそうな方の少女が口にした言葉に足を止める。
 今その口から出たのは、間違いなく白鳥という名字だった。
 勿論この木連に白鳥という人物が、俺の知っている白鳥九十九以外にいないという訳じゃないだろう。
 それでも何の手掛かりもない状況では、少しでも手掛かりになりそうなこの状況を見過ごす訳にはいかない。
 とはいえ、どうしたものか。
 あの商人……こういうのも露天商って言うのかどうかは分からないが、その露店商も別にからかうつもりでこういう事をやってる訳ではないだろう。
 生活費を稼ぐ為……でも、騙すのは駄目だよな。一種の詐欺だし。
 いや、これが本当に刑法で詐欺になるのかどうかは分からないし、そ
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