六話:肝試し
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夏の太陽も落ち、夜空にコウモリが飛び交う時間帯。
普段は学校にいない時間帯にぐだ男達は集まっていた。
そう、肝試しを行うために。
「何でもいいからとっとと始まれよな……お前もそう思うだろ?」
『そうだね、モードレッド』
「はは、やっぱお前とは気が合うな。気が合うってのは重要なことだ」
行儀悪く机の上に座るモードレッドと話しながら開始の合図を待つ。
なんでも事前に配られていた自分の番号を放送で呼ばれたら廊下に出てペアと合流するらしい。
「そういや、お前幽霊とか苦手か?」
『怖くはあるけど立ち向かえないほどじゃない』
「ハッ、お前のそういう素直なところ悪くないぜ」
まるで悪ガキのような笑みを浮かべるモードレッド。
そんな姿にぐだ男は子供みたいだなと思うが言えば怒ることは間違いがないので黙っておく。
「すまない。みんな、静かにしてくれ。どうやら合図が来たようだ。これは……テレビ放送か」
委員長のジークフリートの声掛けで教室にいる生徒が一斉にテレビに目を向ける。
すると、そこには夜とは正反対の煌びやかな黄金の衣服を身に着けた男が現れる。
【余は太陽王オジマンディアス。余の言葉をもって今宵の宴は開演する。ありがたく思うがいい】
「なぁ、ぐだ男。こいつムカつくんだけど。処す、処しちゃう?」
『落ちついて、モードレッド。画面が壊れるだけだから』
自らを絶対強者と疑わない三年生のオジマンディアスの姿に眉を引くつかせるモードレッド。
そんな友人を宥めつつぐだ男はオジマンディアスの言葉に耳を傾ける。
【校舎に張り巡らされた試練を乗り越え、見事、意識を失うことなくゴールに辿り着ける勇者がいることを願おう。それでは開演の―――】
ズルリとずれるオジマンディアスの―――首。
理解できずに画面を見たまま凍り付く生徒達。
しかしながら、当の本人は蚊に刺されたような軽さで首を元に戻す。
【なんだ? 余の首は何ともないぞ―――おっと】
今度は先程よりも明確に首が滑り落ち危うく肉が見えそうになる。
どこかの教室から悲鳴が聞こえてくるがそれでもオジマンディアスの様子は変わらない。
【それでは進むがよい! 余がその様を見届けてやろう!!】
大層なセリフを首がズレたまま言い切り画面から消えるオジマンディアス。
静まり返る教室に1番目のペアを呼ぶ放送が流れる。
「な、なぁ……お前は何番目なんだ?」
『10番目』
沈黙した空気が嫌なのかモードレッドが話題を振ってくる。
「オレは15番目だな。お前より後か……ま、お前が気絶してたら体育館まで引きずってやるよ」
『優しくお願い』
「そこは否定するところだろ? ま、いいけどな」
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