六話:肝試し
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んじゃないわよ!」
『触ってないよ?』
「嘘言ってんじゃ―――キャッ!?」
再び悲鳴を上げてのけ反るジャンヌ・オルタ。
確かに冷たい何かに触れられた感触はあるが振り返っても誰もいない。
「……本当にあんたじゃないのね?」
頷くぐだ男の姿に不安げに辺りを見るが当然誰も見えない。それも当然だろう。
先程からジャンヌ・オルタに触れているのは気配を遮断したハサンなのだから。
百の貌のハサンが定番のコンニャクを彼女の肌に当てているのだ。
普通であればバレバレなコンニャクもハサンにかかれば不可視のコンニャクとなるのだ。
『本当は苦手なんじゃ……』
「そ、そんなわけないじゃない! くだらないこと言ってないで早く行くわよ!」
口では強がりながらもペースを落としぐだ男とはぐれないようにするジャンヌ・オルタ。
そんな気配に一人心の中で可愛いなと思いながらぐだ男は彼女に付き従う。
「……理科室に着いたけどどうするの?」
『スタンプを押すんだけど……あ! あの机の上にあるやつだと思う』
理科室に辿り着いた二人だったが何も異変はない。
慎重に中の様子をうかがい机に近づくが何も起きない。
『理科室といえば人体模型が動き出すんだけど……』
「な、なに言ってんのよ。動くわけないでしょ」
奥の方にいる人体模型をじっと見つめるが動く気配はない。
それに安心しスタンプを押すがやはり何も起きない。
『終わったよ。もう出ても大丈夫のはず』
「ハッ、身構えて損しちゃったわ。そうよね、人体模型が動くはずないもの…うん」
心底安心したような顔をして一刻も早く理科室から立ち去ろうと扉に手をかける。
しかし、ぐだ男は違和感に気づく。最後に入ったのは自分の方だが自分は―――
『待って、ジャンヌ・オルタ! 俺は―――扉を閉めてない!』
―――扉を開け放しておいたはずなのだから。
「―――え?」
ぐだ男の声は間に合わずジャンヌ・オルタは扉を開けてしまう。
月明かりが差し込み扉の外に居た者を照らし出す。
細長い体に、不気味なまでに青白い肌。見る者を威圧する瞳。手にした大槍。
そして何より、その体を染め上げるのは―――真っ赤な血飛沫であった。
「キャァアアアッ!」
安心したところへの不意打ちに思わず悲鳴を上げて後ろに逃げるジャンヌ・オルタ。
ぐだ男はそんな彼女に前に立ち庇う様に震える足で敵と対峙する。
「俺に立ち向かってどうするつもりだ? 無駄な時間を使うだけだ」
『…! その声、それに一言足りなくて煽っているように感じる話し方―――』
ぐだ男の脳裏にある人物が思い浮かぶ。
『―――カルナさんかッ!』
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