暁 〜小説投稿サイト〜
歌集「春雪花」
254

[8]前話 [2]次話



 待ち疲れ

  求めし影は

   風のよに

 吹きてや消えし

    独り淋しき



 ずっとここに居たとして…彼には会いようがない…。

 想いは消えることはなく…絶えず私を悩ませる…。

 日々に追われ…恋に疲れ…心に問われ…。

 彼はここにはいない…いや、いっそその方が良かったのだ…居ないからこそ、私が彼を傷付けることはないのだから…。

 想い溢れ…ふと彼がいた気がしたが、それは幻…。

 風に吹かれ消え去えさる煙りのように…それは刹那に霧散して…


残るは侘しき私一人…。



 露草の

  花もかわきし

   夏影も

 心の袖は

   濡れし儘なれ



 朝露に濡れた蒼き露草の花も、真昼の太陽に渇いている…。

 全てを見透かすような夏影…しかし、私の心にある袖を、乾かすことは出来ない…。

 彼に会えず…この想いを告げることさえ出来ぬ身を、心で嘆かずにはいられない…。


 愚かしい…私が生まれたこと、そのものが…。




[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ