第3章:再会、繋がる絆
第56話「消えぬ違和感」
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...そこで、ふと夢で見た内容を思い出す。
「(...そう。あの人物がいれば全て辻褄が合う。)」
アリサとすずかに魅了が効かなくなるのも、数々の不自然な所も。
夢で見た内容、その全てが、あの人物がいれば成り立つと、なぜかそう思えた。
...気が付けば、走り込みは終わっていた。
「(...一度素振りをして気を切り替えよう。)」
雑念が入ると剣筋もぶれるからな。
椿もそろそろ起きてくる頃だろう。椿は早起きだし。
葵は吸血鬼だから、朝に弱いけど...まぁ、6時くらいには起きるだろ。
「.....ふぅ。」
しばらくして、いつもの庭での素振りを終わる。
ふと、家の開けている窓を見ると、椿が訝しげにこちらを見ていた。
「...どうしたんだ?」
「...どこか、雑念が入っていたわね。」
...さすが椿。気づいていたのか...。
「これでも思考を切り替えた方なんだがな...。」
「何があったの?」
夢の事や記憶の矛盾...葵ももうすぐ目覚めるし、話しておくか。
「....なるほどね...。」
「...二人は何か違和感とかはあるか?」
今までは疑問にすら思わなかった。
それがおかしく思えて、ふと二人にも聞いてみる。
「分からないわ...。記憶を探っているんだけど...。」
「矛盾が感じられない...いや、感じようと思えないのかな?」
「そうか...。」
二人でさえ、違和感を感じる事はできない。
「...でも、分かった事はある。」
「ええ、そうね。」
「あたしもわかってるよ。」
僕らは少し間を置き、一斉に異口同音に言う。
「「「記憶や矛盾に対する、認識の阻害。」」」
そう。“疑問に思わなかった”。これがキーワードだ。
今朝気づいた矛盾は、少し考えればすぐ感じる事のできる矛盾だ。
それなのに気づかなかった...疑問にさえ思わない事にこそ、僕らは疑問に感じた。
そして、葵も言っていた“矛盾を感じようと思えない”。これではっきりした。
矛盾などに対して思考が働かない。...その時点でおかしい。
だから僕たちはそう結論付けた。
「僕自身、夢を見るまで一切気づかなかった。」
「そんな優ちゃんに言われてもまだわからないあたしたち。」
「よく考えれば普通にわかる事よね。」
だけど、問題となるのは...。
「それを行った存在...。」
「あたし達三人...いや、多分最低でもこの街全ての人に認識の阻害をかけてるんだよね?」
「...いくら式姫とはいえ、
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