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豹頭王異伝
暁闇
魔道師の想念
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 マリウスの歌は魔道師達に中継され、パロ全土に様々な波及効果を齎したが。
 ケイロニアの竜の歯部隊、金犬騎士団の猛者達も涙を流していた。
 我先に剣を掲げ黒魔道と竜王の脅威を掃う希望の象徴《シンボル》、豹頭王に差し出す。

(我々も絶望の闇と恐怖に脅える無辜の民を救う為、王と共に戦います!!)
 数万の瞳には強い光が宿り、心中の絶叫が仄見える。
 イェライシャの指が動き、放出された精妙な波動が空間を揺るがせた。
 ケイロンの勇者達が差し出した剣が煌き、一斉に大地を離れ頭上に浮揚。
 眼を疑う彼等の眼前で無数の武器が空中を飛翔、一点に集中し光に包まれる。

 万を越える数の剣と槍が光の中で合体を遂げ、一振りの見事な黄金の剣に変貌。
 光の剣は燦然と輝き優雅に空中を漂い、グインの眼前に静止。
 ゆっくりと黄金の剣を手に取り、唇を付ける豹頭王。
 戦士達の想いを代弁した幻の剣は一際、輝きを増す。
 次の瞬間、黄金の剣が無数に分裂。
 スナフキンの剣と同様に空を駆け抜け、戦士達の鞘へ納まった。

(公衆の面前で奇術師の如くに魔道を使い、心を惑わす行為は禁じられておるのだがな。
 1万1千振りの剣に一々、唇を付け騎士達に返す暇は有るまい。
 王は時間を節約し進軍に移る方が好都合であろう、皆も気持ち良く新たな戦いに臨める。
 わしは純粋な白魔道師ではないからな、掟破りではあるが大目に見て貰うさ)
 闇の司祭であれば珍しくも無い事だが、ドールに追われる男が意外にも軽口を叩いた。
 マリウスの歌に普段は統制されている感情の疼き、内心の動揺が仄見える。

 グインは多少、マリウスの歌に免疫が有る。
 不可思議な光の宿った穏やかな瞳が瞬き、生真面目に丸い頭を下げ老齢の魔道師に応えた。
(礼を言うぞ、イェライシャ。
 ついでと言っては何だが、もうひとつ頼みがある。
 御苦労だが再び、キタイへ赴きてくれぬか。
 リー・レン・レン達や望星教団、竜王の脅威に曝される者達を護ってやってくれぬか。
 クリスタルを陥した後に俺が遠征の準備を整え、キタイへ乗り込むまでの間だけで良い)

(王よ、少し時間を貰いたいのだが。
 わしが戻るまでの間、マルガに向け軍を進めていてくれぬか?
 ヤーンに懸けて誓うが悪い様にはせぬ、白魔道師共とは連絡を保ち何かあれば駆け付けるよ。
 わしにも多少の利害や都合と云うものがある、竜王の罠を覆す手品の種を仕込む時間も要る)
 グインの閃かせた思考を難無く読み取り、黒から白へ転向した魔道師が応えた。
 我が意を得た、さもありなんと満足気な気配が微かに漂う。

(一刻も早くパロを解放し、キタイへ赴かねばならん。
 其の為には古代機械のマスター、アルド・ナリスの力も大いに必要となる。
 マ
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