第二部 WONDERING DESTINY
CHAPTER#3
DETERMINATIONU 〜真意〜
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成らず、少女はただ嗚咽を漏らして泣きじゃくるのみ。
(……ッ!)
その少女の姿を目の当たりにした承太郎は、無言でジョセフの襟から手を放し、
代わりに皮膚が破れて肉に喰い込む程強く、己の拳を握りしめた。
(……何……ヤってんだ……?)
一瞬の喪心の後に襲ってくる、途轍もなく重い罪悪感。
(テメエで勝手にブチ切れて……
周囲に当たり散らして……女泣かせて……
オレは一体……何ヤってんだ……!)
何のコトはない。
結局一番取り乱していたのは自分だったと気づき、
承太郎は震える拳から鮮血を滴らせる。
「スゴイ音がしたが、一体どうしたんだ!?」
爽やかな果実の芳香と清廉とした声。
正門前から騒ぎを聞きつけて何事かと想った花京院が、
その場に駆けつけた。
「ハッ!?」
割れたガラスの散乱したダイニングルームの中心で、
幽鬼のような表情を浮かべるジョセフと泣きじゃくるシャナ。
そして。
己に背を向け拳から血を滴らせながらその身を震わせる
承太郎の姿を目にした瞬間、花京院は、全てを理解した。
(……)
いつもなら、自分の他に2つしか感じない『スタンド』 の気配、
ソレが3つに増えていたのだから。
「まさか、まさ、か……ホリィさんに……『スタンド』が……!
しかもソレがマイナスに働いて 「害」 になってしまっているのか……!?」
そう言って視線を向けた、少女に抱かれて荒い吐息を繰り返す淑女。
彼女を抱いている少女の腕に、無数の美しい荊が透けていた。
「……」
第三者といえ流石に動揺の色は隠しきれず、
蹌踉めいた細い躰をなんとか支えた花京院の視界に、
微かに震える友人の背が映る。
「空条……」
かける言葉など何もないと知りながらも、
それでも花京院は承太郎の傍へと歩み寄り、
震える肩にそっと手を置いた。
常に威風颯爽としていて己に対する揺るぎない自信に充ち溢れている
普段の彼の雰囲気は、今は見る影もない。
しかし。
そんないまにも自分に向かって崩れ落ちてきそうになっている彼の存在を、
今度は自分が支えてあげなければならないと想った。
そうでないなら、彼の友人である資格などないと花京院は想った。
「盟友よ……辛いのは解るが……
こうなった以上早急に手を打たねば……
ソレが一時でも早く、奥方をこの窮地から救う事に繋がってゆく……」
未だ心中は激しく揺れ動いてはいるが、
それでも心を鬼にして己を諫めたアラストールが、
ジョセフにそう問いかける。
その異界の友人に対し、ジョセフは震える口調で言葉を絞り出す。
まるでこれから自分が告げる事実を、拒むかのように。
「ひと……つ……!」
断腸の想いで、呑み下した煮え滾
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