第二部 WONDERING DESTINY
CHAPTER#3
DETERMINATIONU 〜真意〜
[4/17]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
……)
アラストールの心中で意図せずに湧き出る
“この男” と出逢って以来生まれた、少女と共に織りなした
幾つもの追想。
共に語り合い、笑い合い、人間と紅世の徒との境を越えて
互いにその存在を認め合った繋がりだった。
いつのまにか、自分にとっても他に掛け替えの無い存在となっていた男だった。
その者が、一番辛い時、苦しい時、
自分はその痛みを和らげる事も肩替わりしてやる事も出来ない。
己の目の前でただ絶望に嘆くジョセフの姿を目の当たりにしながら、
何が盟友だ……ッ! とアラストールは自虐的に吐き捨てた。
「ワシ……の……ワシの……!
最も……! 最も怖れていたコトが……!!」
呻きながらも喉の奥底から言葉を絞り出したジョセフは、
心中で渦巻く無数の感情のまま、堅く握った拳で床を叩く。
何度も。何度も。何度も。
目の前で起こったどうしようもない 『運命』 の悲劇に対して、
己の想いをブツけるかのように。
「無いのではないかと……想っておった……
DIOの……魂の “呪縛” に対する……
【抵抗力】が……!
この子は……この “子” は……!
生まれてこの方一度も……
誰かを強く憎んだり恨んだりした事はない……!」
遠い昔。
今は亡き初代スピードワゴンから伝えられた自分の祖父、
“ジョナサン・ジョースター” の生涯。
その話を幼いホリィに聞かせた時も、
この子はスベテの惨劇の 『元凶』 と成った
“ディオ・ブランドー” に対してさえも、
『誰にも愛されなくてかわいそう……』
と一人彼の境遇を憐れんでいた。
その、自分の祖母譲りの、
この世の何よりも温かく優しい心。
ソレは、どれだけ時を経ても全く変わっていなかった。
あどけない少女の時と同じまま、
ホリィの心の中に存在していた。
「しかし……ソレが……“ソレが”……!
このような事にぃぃぃぃ……!!」
哀切に充ち充ちた声で、ジョセフは再び声を引き絞る。
しかし悲嘆にくれる父親の前で、 その娘は閉じた瞳を開く事はない。
(……ッ!)
そのジョセフの脳裡に、一人の 『男』 の姿が浮かんだ。
己のスベテを自分に託し、神風の砂嵐の許、
一人鮮赤と共に散っていった者。
いつも何かしてもらうばかりで、いつも助けられてばかりで、
結果的には何もしてやれなかった、
この世でたった一人の、 自分の、親友。
(シー……ザー……!)
消えない過去の疵痕と共に、
彼の存在が、嫌が応にも己の無力さを突き付けた。
お前は誰も護れない。
お前は誰も救えない、と。
「オイ……一体いつまで……“そうやってる” つもりだ……ッ!」
目の前で苦悶に伏するホリィの傍らで、
ただただ狼狽するしかない三
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ