第二部 WONDERING DESTINY
CHAPTER#3
DETERMINATIONU 〜真意〜
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。
ソコから唐突に立ち昇る、二つの途轍もない存在の気配。
「ムッ!?」
眼前に生い繁る幽波紋の荊を背景に、
咄嗟に振り返ったアラストールの視線の先。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!!!
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッッッッッッ!!!!!!
淑女の父親、ジョセフ・ジョースター。
淑女の息子、空条 承太郎。
その二人が、愕然とした表情でこちらを見据えていた。
「……」
「……」
無言で自分の傍に、力無く歩みよった二人に対し、
ずっと押し黙り続けていたシャナが、ようやくその口を開く。
「承……太郎……? ジョセ……フ……? ホリィ……が……ね……
ホリ……ィ……が……ね……!」
震える声と口唇で少女は、
まだどこか夢だと想い込んでいる危うい心持ちのまま、
瞳に涙を浮かべた悲痛な笑顔で、縋るように二人へ訴える。
見た目はあどけない少女とはいえ、彼女もまた歴戦の戦士。
目の前の事態を理解出来ていないワケではない。
ただ。
意識が 『ソレを認めるコトを』 頑なに拒んでいるのだ。
未だ、目の前の出来事を 『現実』 だとは受け止められず、
怒り狂えばいいのか泣き叫べばいいのかも解らないまま、
幻想と現実の狭間に一人取り残されている。
「……ホ……リィ」
少女の問いには応えられず、か細い声でようやくそれだけ搾り出したジョセフは、
割れた食器の破片が散乱した床に膝をつき、娘の頬をそっと撫でる。
「…………」
一方承太郎は、俯き加減で口唇を噛みしめ、
その細い顎を微かに震わせていた。
無言で何も言わず表情も学帽の鍔で伺えないが、
逆にそれが凄まじい迄の怒りを、嫌が応にも周囲へと感じさせるコトとなる。
「……う……うぅぅ……お……おぉ……おおお……」
自らの最も怖れていた最悪の事態が、
目の前で遂に現実となってしまった事を嫌が上にも突き付けられたジョセフは、
寝間着姿のまま床に蹲りその全身をワナワナと震わせる。
そし、て。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ…………!!!!!!」
ジョセフは呻いた。
美しきスタンドの絡みつく、最愛の娘の傍らで。
まるで溶解した水銀でも呑み下すかのように呻いた。
「……」
その盟友の姿をただみつめる事しか出来ないアラストールは、
生まれて初めて、灼き尽くしてやりたい程怒りを己に感じた。
「……盟友よ……遺憾な……事となった……」
かける言葉が見当たらず、ようやくそれだけ零れた、空虚な言葉。
どうしようもない。
何もしてやれない。
“本当にしてやれる事がない”
(
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