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第二部 WONDERING DESTINY
CHAPTER#3
DETERMINATIONU 〜真意〜
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「しかし、深遠なる紅世の王 “天壌の劫火” アラストール。
貴方の口添えで在るならば……
『星の白金』 以下4名。
我が “陣営” に降る手筈は整えてあります」
 殆ど感情の起伏を感じさせない、聖少女の澄んだ声。
 その進言に対し、右隣に位置した麗女が瞳を細め微かに尖らせた。
「貴様? DIO様の御前で無礼であろう。
此奴等は決して相容れぬ血統の者共。
許し難き我等の仇敵ぞ」
 麗女の咎める様なその問いに、少女は表情を変えず冷然と返す。
「優れた 『能力(チカラ)』 を持つ者で在るなら、
討滅するのではなく我が陣営に引き込んだ方が双方の犠牲もなく
より合理的だと判断したまでです。
このコトは統世王様から一任された私の役目。
僭越(せんえつ)は貴女の方ではないでしょうか?」
「貴様」
「……」
 真正面から対峙する、闇冥と水蓮の瞳。
 麗女の背後から冥界の大気を想わせるような。
 少女の躰から天界の霊気を想わせるような。
 聖と邪。
 それぞれ色彩の異なる存在の力が燐光のように立ち昇る。
 スタンド越しにその光を眼にした承太郎は。
(……ッッ!!  この女……! 二人共タダモンじゃねぇッッ!!)
 血気と怒りに任せて、今まではDIOしか眼に入っていなかったが、
ウォーター・ブルーの光の中で立ち昇る
両者の只ならぬ雰囲気と威圧感(プレッシャー)に、
彼は本来の冷静さをやや取り戻し瞳を開く。
「……」
 やがて少女はゆっくりと、その闇冥の麗女から視線を外すと
刹那に私情を諫め再びアラストールへと向き直る。
「さて、アラストール。賢明な貴方で在るならもう」
「断るッッ!!」
 有無を云わせぬ荘厳な声が、少女の言葉が終わる前に響き渡った。
「……ッ!」
 明確な拒絶。
 予想外の返答だったのか、紅世の少女はその神聖な双眸を少しだけ見開く。
 しかしすぐに元の冷然とした表情へと戻り、
「交渉、決裂というコトですね」
澄み切った声で一言そう告げる。
「“天壌の劫火” の存在の輝きも、
永き時の流れの中で些か鈍ったというコトですか?
傷ましいコトです」
 そう言って花京院の掌に携えられたペンダントに、
冷淡な視線を送る水髪の少女。
「……」
 その自分と同じ領域に位置する強大な “王” の問いかけに対し、
アラストールは無言で応じる。
(何とでも云え……己が存在の貴賎よりも大事なモノが在る……
そのコトに気がついたのだ…… 「人間」 という存在を理由(ワケ)も無く蔑み……
儚い塵芥のようなモノとしてしか認識していない貴様等には……
永遠に理解(わか)らぬ領域よ……)
 己が拠るべき存在の相違から、完全に袂を別った二人の王。
 その一体どちらが 「正しい」 のか
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