第二部 WONDERING DESTINY
CHAPTER#3
DETERMINATIONU 〜真意〜
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いたアラストールが
ようやく我を取り戻して声を荒げる。
淑女の躰を蝕むその 『元凶』 を、
己の意志を現世に表出させるペンダント型の神器、
“コキュートス” 全体にヒシヒシと感じながら。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……ッッッッ!!!!
そして。
まるで狙いをすましたように、
その 『元凶』 は “姿” を現す。
淑女の躰を透して実体化するソレは、
夥しい数の、美しき “荊”
周囲をバラに酷似した双葉が取り巻き、
その先端に禁断の実を想わせる嬌艶な果実が結ばれた、
生命の 『幻像』
ソレが周囲に神聖なパールホワイトの燐光を煌めかせながら、
淑女の全身を覆い尽くすように絡みついていく。
「幽……波紋……ッ!」
上で曖昧な状態へと陥っている少女の代わりに、
いち早く現状を認識した胸元のアラストールが、絶句したような声を漏らした。
「な、なんというコトだ……! 奥方にこの能力が……!
しかもその発現の影響に 『器』 が堪えきれず、毀れ初めている……!」
悔恨を滲ますように、一人の紅世の王は己の言葉を噛みしめた。
「不覚……ッ! “彼の者” の存在の影響は、
盟友と空条 承太郎のみに止まり、
奥方には異変が視られないというコトから閑却に捉え過ぎていた……!
“無い筈が無かったのだッ!”」
普段は少女の胸元で静かに光を称える漆黒の球が、
今は何度も紅く発光しながら言葉を紡ぐ。
「“フレイムヘイズ” にしろ 『幽波紋使い』 にしろ、
この世ならざる領域に位置する異力は、
その殆どが己が 「心奥」 に宿る想いの強さで繰るモノ!
云わば 『闘争の本能』 で操るモノッ!
慈愛と友愛でその 『器』 を充たされた奥方にはソレが無い!!
彼の者の幽血の “呪縛” に「叛逆」する力が皆無に等しいのだ!!
故にその異力が、己が存在を蝕む結果となってしまっているッッ!!」
己の眼前で苦悶の吐息を漏らしながらも、
この世ならざる神聖な荊に取り巻かれて瞳を閉じる淑女の姿は、
不謹慎とはいえ深い淵に彩られた、背徳的な美しさを視る者に感じさせた。
「……拙い……このままでは……! 奥方自身に抗う術が無い以上……
その存在の灯火は何れ尽きる……彼の者の “呪縛” に憑り殺されてしまう……!
“王” との 「契約」 に失敗したフレイムヘイズが、
跡形もなく焼滅してしまうように……!」
目の前で横たわる淑女の苦悶を、ほんの僅かでも和らげる事が出来ない己に
口元を軋らせる紅世の王。
その、背後
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