五話:準備
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ーリン。
二人は槍術部に所属しており毎日顧問のスカサハにしごかれている。
しかしながらそのかいもあり、大会では常に圧倒的な成績を残している。
光の御子クー・フーリン。黄金の騎士フィン・マックール。
輝く顔のディルムッド・オディナ。
この三人が揃っている現在はまさに黄金期と言っても差し支えない状態なのだ。
「だいたいよー。師匠も毎日出張ってたらキツイだろ。いい加減、歳考えろってんだよ」
ケラケラと快活な笑いを見せながら冗談を飛ばすクー・フーリン。
しかしながら、その冗談は自身に対する死刑宣告と同義であった。
「ゲイボルグ!」
「おごッ!?」
「御子殿!?」
クー・フーリンの眉間にチョークが突き刺さり粉々に砕け散る。
そのあまりの破壊力に地面に倒れ伏すクー・フーリンに慌てるディルムッド。
騒然となる場に鬼神のごときオーラを漂わせながらチョークを投げた人物が現れる。
「まったく、言うことにことかいてこのバカ弟子は。目の前にいる女性はどう見ても若くてピチピチであろう?」
「いや、ピチピチとかいう言葉の時点で―――ぬおっ!?」
「お止めください、スカサハ殿! 御子殿が死んでしまいます!」
なおも減らず口を叩くクー・フーリンに止めのチョークをお見舞いするスカサハ。
威風堂々、王者の気風を漂わせた、赤い瞳が特徴的な美しい人物である。
しかしながら、彼女の前でその年齢を弄ることは自殺行為に等しい。
「お前の目が狂っているだけだ。ぐだ男、お前の目から見て私は何歳に見える?」
『ピチピチの十代。まだ若いし、生徒でもいけるし』
「先輩の瞳が心なしかどこか遠くを見つめている気がします……」
絶体絶命のピンチに咄嗟に返すがぐだ男の声には真剣さが欠片もない。
しかしながら、取りあえずは若いと言われて納得したのか矛を収めるスカサハ。
だが、クー・フーリンは懲りない男であった。
「まだいけるわけねーだろ、歳考えろ」
空気が凍り付く。ぐだ男は悟る。クー・フーリンはこれから死ぬのだと。
「んーそうか、そうかんー、死ぬか。ここで死ぬな?」
言葉だけ見れば若干のジョークが含まれているように見える。
しかし、実際のところは地の底より響いてくるようなおどろおどろしい空気を纏わせていた。
「さて、今日のしごきはいつもの100倍にしてやろう」
「いや、いつも死にかけるのに100倍とか普通に死ぬだろ!」
『兄貴……骨は拾うから安心して逝ってきて』
「安心できる要素一つもねえじゃねーか!」
スカサハに首根っこを掴まれ連れ去られる姿は悲しさを漂わせる。
だが、現実は非常である。誰も何もすることができない。
ただただ、
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