第九話 若過ぎる死その二
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「これもまた」
「ならばですね」
「神が定められたことなら従うしかないですね」
「最早」
「それしかないですね」
「そうだ、王にはまだ霊薬や妙薬を献上するが」
しかしというのだ。
「それでもという時はだ」
「大公かですね」
「王になられる」
「そうされますか」
「男子で王位継承権を持つ者は私だけだ」
それでというのだ。
「最早な」
「後は女性の方」
「ならばですね」
「大公が継がれますね」
「そうするしかないですね」
「私はもう子を作れない」
大公は苦い声でまた言った。
「ならばな」
「はい、最早ですね」
「北の王国から王子を迎え」
「そしてですね」
「この国を継いで頂きますか」
「新教徒になって頂いて」
「あの国の旧教派を抑えることは大変だったが」
北の国も旧教の国だ、だが彼等もおそらく帝国の謀略でその勢力を大きく削がれている。この国にとってはそのことも幸いだった。
「しかし彼等の力はかなり弱まったしな」
「あの国の新教派は味方につけました」
「共に国を一つとすることによって」
同じ王、それも北の王国の王子が継ぐ。このことは確かに北の王国にとっても悪い話ではないということだ。
「ならばですね」
「このまま一つになるのですね」
「我が国と北の王国が」
「そして」
「ここから半島と島国もそう出来ればいいが」
周辺諸国を飲み込む形でというのだ。
「それにはだ」
「まずはですね」
「北の王国から王子を迎える」
「それしかないですね」
「そうだ、そうする」
まさにというのだ。
「絶対にな」
「新教徒になって頂く」
「そうしますね」
「これは幸いかも知れない」
大公は自分に子が出来ないことを思いだ、こうも言った。
「北の王国の王子を王に迎えられるのだからな」
「考え様によってはですね」
「そうだと言われますか」
「それでも」
「このことも含めて神の思し召しなら」
それならともだ、大公は言った。
「それに乗ろう」
「ですか、では」
「このままですね」
「我々は進めていきますか」
「そうしよう」
こう話してだ、そして。
大公は覚悟を決めた、王のことと自分のこと何よりも国のことに対して。
その大公を見てだ、太子は己の側近達に話した。
「間違いないな」
「王は間もなく崩御されます」
「そして後は大公を継がれますね」
「そうなりますね」
「そうなる、だが大公に子が出来れば」
太子は大公が子に生まれない事情は知らないのでこのことは仮定として話した。有り得ることであるとだ。
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