第二部 WONDERING DESTINY
CHAPTER#2
SCARLET MIRAGE
[4/26]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
像《ヴィジョン》が、各々独特の構えを執ったまま
組み討ち合いのように真正面から高速激突する。
空間が歪曲するかのような、異質な衝撃音。
同時に散華する、白金と翡翠の混じり合った燐光。
スタンド同士の激突で巻き起こった突風が、
石畳の上で瞳を丸くしている少女の白い頬を打ち、
長い紅髪をはためかす。
「……」
明らかに。
両者共に以前よりも 『幽波紋』 の威力が向上っていた。
恐らくは、先刻の仕儀。
己の裡に存在の力を集束して高め、更に圧縮。
そしてその溜め込んで凝縮した力を、一挙に開放。
まるで滑車を用いて鋼線を幾重にも捲き絞られた弩弓のように、
己が 『幽波紋』 を超 高 速で射出したのだ。
二人の周囲で対流していた光は、その存在の裡から漏れ出した能 力の余波。
自在法の技巧としては比較的簡易なモノでは在るが、
その 「基」 となる 『能力』 が凄まじいと、
ただソレだけでも必殺の威力を宿す絶技と成る。
それも。
威力を “抑えた状態” でだ。
「……」
まるで一人置いてけぼりを食ったかのように、
灼けた石畳の上で放心する少女の目の前で、
二人の 『スタンド使い』 の勢いは止まらない。
「いくぜッッ!! オイッッ!!」
「準備はいいか!! ハイエロファント!!」
まるで操り人形のようにスタンドを自分の傍にまで引き戻し、
若き二人の『スタンド使い』は、
コレから繰り出す新たな “幽波紋技能” に備え
それぞれ己が 『分身』 に問いかける。
そして!
承太郎は即座に右手を逆水平に構え。
花京院も両腕を対角の位置に据え。
その視線を、極限まで研ぎ澄ます。
(!?)
次の瞬間。
少女の目を疑う光景が、その真紅の双眸に飛び込んできた。
突如両者の足下から、それぞれ色彩の異なるスタンドパワーが
烈火の如く円柱状に噴出し、本体とスタンドの周囲を覆っていく。
その半径約1,5メートル程の、白金と翡翠の光方陣。
激しく上昇し、音も匂いも煙も無いが、
しかし高密度の重金属を叩きつけるような感覚を以て
その光はスタンドの躯体を駆け抜けていく。
そしてソレは、上に昇るにつれて徐々に色彩を希薄にしていき、
最終的にはその本体頭上近くの位置で掻き消える。
一見、派手な演 技としか眼に映らないが、視える者には視える、
“そうでないコトの奥深さ”
「……」
その 「意図」 を察してただ黙するだけの少女の胸元で、
「むう。この短時間で、
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ