99部分:第九十八話
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第九十八話
第九十八話 食べた後も
食事も程なく終わった。後は後片付けだけである。
「結局何もなかったじゃない」
ピエールが後片付けをはじめる利奈を後ろから見ながら言った。
「カレーも美味しかったみたいだし」
二匹はカレーを食べることはできない。だからこれは見ているだけであった。
「それでもまだ何かあるの?」
「言ったでしょ、料理は作って食べるだけじゃないって」
それでも梨花はまだこんなことを言っていた。
「それからの後片付けもあるのよ」
「後片付けって言っても」
使い魔達は言う。
「お皿とか洗うだけじゃない。それでも何かあるの?」
「そうそう。皿洗いなら利奈ちゃんいつもやってるし。問題ないわよ」
「だから言ってるでしょ。油断大敵って」
梨花はまた言った。
「見ていなさいって。用心してね」
「ううん」
「そこまで言うのなら」
二匹は利奈を見ることにした。しかしやはり何事もないようである。
利奈は鼻歌混じりに後片付けをしている。お皿を洗い終わり鍋も洗っている。ここまででも何事もなかった。
「やっぱり無事終わりそうだね」
「無事で何より」
ピエールとジュリエッタが囁き合う。その鍋も洗ってしまう。これで全部終わる筈だった。
だがここでトラブルが起こった。鍋の水を完全に拭いていなかったのだ。そして上になおそうとしたところで利奈の手がその水で滑った。
「あっ」
鍋はそのまま利奈の頭の上に落ちていく。このままいけば鍋は利奈の頭に当たって怪我をしてしまう。それを見た梨花はすぐに動いた。
「えいっ」
魔法で鍋の動きを止めた。そして鍋はゆっくりと利奈の側に降りた。間一髪といったところであった。
「有り難うお姉ちゃん」
「危ないところだったわね」
姉は妹に対して言った。
「気をつけなさいよ。料理は最後のスプーンをしまうまでが料理なんだから」
「最後のスプーンをしまうまで」
「そういうこと。後片付けも料理なの。だから気を抜かないでね」
「え、ええ」
妹は姉の言葉に頷いた。
「さっきみたいなことにならないように」
「成程、そういうことだったのか」
使い魔達は先程の梨花の行動を見て大いに頷いていた。
「最後の後片付けが終わるまで料理は終わっていない」
「やっぱり御主人様は違いますね」
「あら、疑っていたのは何処の誰よ」
しかし梨花の態度は手厳しい。
「さっきまであんなに疑ってかかってたのに」
「それはそれで」
「御許し下さいな」
「まあいいわ」
けれど梨花はそれをよしとした。
「利奈が怪我しなかったしね。一件落着よ」
こうして利奈のはじめての料理は成功に終わった。最後の最後まで料理は終わらないという教
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