暁 〜小説投稿サイト〜
魔女に乾杯!
99部分:第九十八話
[1/2]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話

第九十八話

                  第九十八話   食べた後も
 食事も程なく終わった。後は後片付けだけである。
「結局何もなかったじゃない」
 ピエールが後片付けをはじめる利奈を後ろから見ながら言った。
「カレーも美味しかったみたいだし」
 二匹はカレーを食べることはできない。だからこれは見ているだけであった。
「それでもまだ何かあるの?」
「言ったでしょ、料理は作って食べるだけじゃないって」
 それでも梨花はまだこんなことを言っていた。
「それからの後片付けもあるのよ」
「後片付けって言っても」
 使い魔達は言う。
「お皿とか洗うだけじゃない。それでも何かあるの?」
「そうそう。皿洗いなら利奈ちゃんいつもやってるし。問題ないわよ」
「だから言ってるでしょ。油断大敵って」
 梨花はまた言った。
「見ていなさいって。用心してね」
「ううん」
「そこまで言うのなら」
 二匹は利奈を見ることにした。しかしやはり何事もないようである。
 利奈は鼻歌混じりに後片付けをしている。お皿を洗い終わり鍋も洗っている。ここまででも何事もなかった。
「やっぱり無事終わりそうだね」
「無事で何より」
 ピエールとジュリエッタが囁き合う。その鍋も洗ってしまう。これで全部終わる筈だった。
 だがここでトラブルが起こった。鍋の水を完全に拭いていなかったのだ。そして上になおそうとしたところで利奈の手がその水で滑った。
「あっ」
 鍋はそのまま利奈の頭の上に落ちていく。このままいけば鍋は利奈の頭に当たって怪我をしてしまう。それを見た梨花はすぐに動いた。
「えいっ」
 魔法で鍋の動きを止めた。そして鍋はゆっくりと利奈の側に降りた。間一髪といったところであった。
「有り難うお姉ちゃん」
「危ないところだったわね」
 姉は妹に対して言った。
「気をつけなさいよ。料理は最後のスプーンをしまうまでが料理なんだから」
「最後のスプーンをしまうまで」
「そういうこと。後片付けも料理なの。だから気を抜かないでね」
「え、ええ」
 妹は姉の言葉に頷いた。
「さっきみたいなことにならないように」
「成程、そういうことだったのか」
 使い魔達は先程の梨花の行動を見て大いに頷いていた。
「最後の後片付けが終わるまで料理は終わっていない」
「やっぱり御主人様は違いますね」
「あら、疑っていたのは何処の誰よ」
 しかし梨花の態度は手厳しい。
「さっきまであんなに疑ってかかってたのに」
「それはそれで」
「御許し下さいな」
「まあいいわ」
 けれど梨花はそれをよしとした。
「利奈が怪我しなかったしね。一件落着よ」
 こうして利奈のはじめての料理は成功に終わった。最後の最後まで料理は終わらないという教
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ