35話 サイコミュニケーター 3.10
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* フォン・ブラウン アナハイム工場研究棟 カフェテリア
テム・レイとオクトバーは束の間のコーヒーブレイクをしていた。どちらも多忙だった。両者ともに席に腰かけては宙を仰いでいた。各部門で頻りにサイコミュについての改良について矢の催促で悩まされていた。
2人とも表情が暗い。寝不足のせいでもあるが、手元のナガノ博士からの資料がとても気分良い物でなかったことも原因の1つであった。
テムがコーヒーに口を付けてはぼやく。
「・・・あー。研究の継続をするにしてもこれは人が触れてはならない禁忌の領域に入りつつあるな・・・」
オクトバーもコーヒーを飲んではそれに答えた。
「全くです。ナガノ博士は強制的に企業より人体実験を行わされて発狂寸前だと」
テムは嫌悪な表情をして、再び資料に目を落とす。
「何もティターンズの真似をする必要は・・・」
「レイ博士!それはあくまで噂で・・・」
テムが手を挙げてオクトバーを制す。
「分かっとる。しかしながらこの資料を見ると奴らも満更噂以上の事をやっているように思える」
「・・・人が人を管制制御すると?」
オクトバーの問いにテムは頷く。
「ああ。こいつを科学で可能にされては使い道によっては人が滅ぶぞ」
「博士、どういうことですか?」
テムは立ち上がり、コーヒーを飲み切ってゴミ箱へ投げ入れた。そして座っているオクトバーを見下ろす。
「サイコミュが実戦配備されて、この地球圏どこでもありふれたインターフェイスとなった。通信電波の中継基地が既に地球圏全体に張り巡らされたと言ってよいかもしれん。それが危機であり、我らに矢継ぎ早の催促の終末点だ」
オクトバーがゴクリと唾を飲み込む。ナガノ博士の考える脅威をそのまま飲み込むと既に手遅れではあるとオクトバーは思った。追ってテムは言い付け足した。
「我ら科学を信じるものは事の起因が有って現状が存在する。仕掛け人がいるなこれは・・・」
オクトバーはテムの言に頭から汗が一筋こぼれた。我ら会社員は企業に従う。科学者は興味を満たせればどんな領域でも旅をする冒険者。本来はこんなことを考える必要などないはずなのだが。判断つくことなく複雑な想いだった。ただ経験からこれは危険だということだけは感じていた。
* ダカール上空 サイコアプサラス
サイコアプサラスの索敵モニター、そしてカメラ映像に近付くデルタプラスの映像が映っていた。
識別が製造されているほとんどのモビルスーツのデータが備わっていた。
エルランはそれを見て首を傾げた。
「ふむ。何故特務特機が・・・」
表記が特務機、その中でも特機。エルランは異様さを感じた。ダカールには何かが集結しつつあると感じていた。例えば、世界の動向
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