第十九話 療養所その八
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「だからね」
「心にはストレスを溜めないことですか」
「常にリラックスしてね」
散歩で身体を動かしたり本を読んだり絵を描いたりしてというのだ、そうしたものを蓄積しない様にしてというのだ。
「心を安らかにしてね」
「それじゃあ」
「そう、絵の具や色鉛筆は用意するよ」
そしてキャンバス等もというのだ。
「沢山描いてね」
「わかりました、それじゃあ」
「それに実は絵の具も色鉛筆も一杯あるんだ」
「そうなんですか」
「療養所だからね、入っている人のストレスが溜まらない様に気をつけてるから」
「絵を描くこともですか」
「そう、ストレス解消になるから」
だからだというのだ。
「用意しているんだ」
「そうだったんですね」
「じゃあ心置きなく描いてね」
「わかりました、じゃあそうさせてもらいます」
「そうね、多分女の子になるにはね」
岡島は優花に絵の話から彼の身体のことを話した。
「結構すぐかな」
「急にですか」
「成長期だからその分身体が変わるのが速いんだ」
「だからですか」
「成長期は身体の変換が速いってことでもあるからね」
「それで女の子になるにもですね」
「そう、速いよ」
こう優花に話すのだった。
「十六歳だとね」
「それじゃあもうすぐに」
「君はもうかなり女性化してるしね」
「今の時点で、ですか」
「見たところね」
医師の彼がというのだ。
「声も変わってきてるし」
「確かに。最近特に」
「君の声は明らかにボーイ=ソプラノじゃないよ」
所謂子供の男の子の高音である。
「ソプラノだよ」
「女の人の高音ですね」
「そう、それもかなり高いね」
ソプラノの中でもというのだ。
「僕は音楽には詳しくないけれどかなり高いソプラノだよ」
「声が変わってきていて」
「喉仏もないしね」
優花のその喉も見て言った。
「髪の毛の質も変わってきてるしね」
「女の子の髪の毛ですか」
「それになってきてるし体型もね」
「女の子のものですか」
「体毛薄くなってるよね」
「胸毛とか脛毛とか全然ないです」
優花は自分から岡島にこのことを話した。
「そうしたところの毛も」
「お髭もだね」
「もうそろそろ生えだしますよね」
「そうした人もいるよ」
「けれど僕は全然」
「奇麗な顎と口元だね」
髭の生えるその場所である。
「それを見てもわかるよ」
「僕はかなり女の子になってきてるんですね」
「そうだよ、だから完全に女の子になるのは近いだろうね」
こう話すのだった。
「そして女の子になって暫くしたら」
「ここを出てですね」
「長崎の学校に通うことになってるね」
「姉さんがそう手配してくれました」
「アパートを借りて」
「そうなってます」
「わかっ
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