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魔女に乾杯!
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第九十二話

                 第九十二話   葵の秘密
 いよいよ怪しくなってきた。赤音は姉から目を離さない。
「さて、鬼が出るか蛇が出るか」
 彼女は言った。
「ここまで来たら。覚悟してよね」
「蛇は魔法でどうにかなるけれど鬼はね」
「勘弁してもらいたいよね」
「冗談言ってる場合じゃないわよ」 
 赤音の言葉は何時になく真面目で鋭いものとなっていた。
「どうやらあの人達が何かありそうなんだから」
「了解」
「それじゃあ気合入れて行きましょう」
 見れば葵達は繁華街へ向かって行く。赤音達の学校ではあまり行くのはよくないとされている場所である。
 それでも行かないわけにはいかなかった。知っている人がいないのを確かめてから先に進む。見れば姉達はそのままさらにいかがわしい場所へと向かっていた。
 そこにはやけに派手な高い建物が並んでいた。看板が異様に目立つ。
「何かな、これ」
「さあ」
 使い魔達に聞いてもわからない。赤音の歳の娘が知るにはもうちょっと先のものである。
 そのよくわからない派手なビルの中を通って姉達を追い続ける。見れば今度は細い道に入っていた。
「大丈夫かな」
「嫌な予感がするよね」
「その時こそ魔法を使うわ」
 赤音はもう決めていた。
「あんた達も、いいわね」
「うん」
 主の決意に押された。そしてその細い道に彼女達も入った。
 そこに入るともう姉達は道の出口に差し掛かろうとしていた。曲がった時に目に入らないようにさっと身を隠してからまた先に進む。
「右ね」
 見れば姉達は右に曲がっていた。それを確かめてその細い道を進む。そして右に出た。
 そこには神社があった。葵達はそこに入っていく。それを見て訳がわからなくなってしまった。
「こんなところに神社が」
「神社は何処にでもあるわよ」
 それにジップが答える。
「問題は何をしに行ったのかよ」
「お参りかな」
「それだったら家の近くの神社に行くよね」
「それもそうね」
 ハリーの言葉に頷いた。
「それだったら何かな」
「何か悪いことしてるんじゃないかな」
「悪いこと」
「煙草とかシンナーとか。もしそうだったら大変よ」
 赤音の考える悪いことと言えばまだこの程度のものだった。彼女もまだまだ子供であった。
「何とかしなくちゃ」
「まずは神社へ行って確かめないと」
「ええ」
 赤音は頷いた。そして前に出た。
「行くわよ」
「勿論」
 ジップとハリーもそれについて行く。そして彼女達も神社の中へこっそりと入るのであった。

第九十二話   完


                 2006・2・21


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