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第九十話
第九十話 カラオケ
次に葵が入ったのはカラオケであった。そのままお喋りをしながらボックスに入って行く。
「今度はカラオケかあ」
「勿論行くんでしょ?」
「うん」
ジップ達の問いに頷く。
赤音達は葵達のいるボックスの隣に案内された。これはラッキーなことであった。
「それじゃあ今度は僕達が」
ハリーが言う。
「見ているから。御主人はここにいて」
「いいの?それで」
赤音は使い魔達に対して問う。
「私はここにいるだけなんて」
「大丈夫よ、御主人様」
ジップが言う。
「今度は覗くわけにはいかないから」
「こうやって姿を消してね」
ハリーがそう言うと二匹の姿が消えた。
「見て来るから。それじゃ」
「うん」
「御主人はカラオケでもやってて」
「わかったわ」
こうして赤音はカラオケに熱中し、二匹が葵を見ることになった。扉のところでじっと見ている。
だが結局何も変わったところはなかった。相変わらず友達と騒いでいるだけであった。酒等も飲んではいない。
「案外真面目みたいだね」
「嫌、これからどうなるかわからないわよ」
二匹はそんな話をしながら監視を続けた。だが結局何もなかった。葵達は気の済むまで歌うとそのままボックスを出たのであった。
「御主人」
「あれっ、もう終わりなの?」
見れば赤音はまだ歌っていた。マイクから手を離しはしない。
「うん、今出て行ったよ」
「ちぇっ、お姉ちゃんってせっかちなんから」
口を尖らせてこう言う。
「やっと乗ってきたところなのに」
「かなり歌ってるんじゃないの?」
ハリーがそんな彼女に尋ねる。
「一人だったし。とにかくもうすぐ店を出ちゃうよ」
「早くして、早く」
「まだ曲が残ってるのに」
「そんなのいいから」
「また今度」
不満そうな主を引っ張る様にして店を出る。カウンターに来た時にはもう葵達は店を出ていた。
「ほらもう」
「急いで」
「待ってよ、割引チケットもらってから」
「もう」
「御主人がこんなにカラオケ好きだったなんて」
「えへへ」
「えへへじゃないよ」
反省していない主を嗜める。そして追跡を再開した。
第九十話 完
2006・2・14
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