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とある科学の裏側世界(リバースワールド)
remember memory
ep.0001 remember memory 池野&箱部 中編2
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池野は分からなくなっていた。
これまでは気にならなかった。
人を殺す意味を今更になって考えるようになった。

「イズ.......お〜い、イズ。」

池野は振り返った。
そこにはアナコンダで池野の会話相手になっているOR(オア)という青年が立っていた。
オアは池野より何歳か年上でアナコンダでは池野に続くNo.2を担っている。

「オアさん。どうしたんですか?」

オアは首を傾げて、逆に池野に聞き返した。

「どうしたも何も君が"相談がある"って呼んだんだろ?」

池野はハッとなって頭を下げた。
するとオアは池野の横に並んだ。
池野が悩みをオアにぶつける。

「分からなくなったんです。どうして俺たちは人を殺してきたのか。どうして殺さなきゃならないのか。」

オアは少し和らいでいた表情を真顔に戻した。
そして、池野に言葉を返した。

「イズ。暗殺者や殺し屋は人の死について考えちゃならないんだよ。考えてしまうと、次から躊躇なく刃を振るえなくなる。」

オアの言葉は説得力があって、とても反論が浮かぶような気がしなかった。
しかし、もう自分がこれまでのように人を殺せなくなってしまったことは十分理解できた。
池野はオアに一礼すると、その場を去っていった。

そんな中、池野にまた任務が入ってきた。
今回のターゲットは第0学区でも有数の名家である"箱部宗次郎(はこべ そうじろう)"という人物だった。
池野は、任務に不安を残しながらも出撃した。
箱部家は大きな屋敷のような建物で、名家の名に相応しいものだった。
池野は、やはりいつも通り誰にも気付かれずに建物に侵入することに成功した。
でも今回ばかりは自分のこのセンスに嫌悪感を抱いた。
そう思っていると、今度は視線の先にお世話人らしい人物を目撃した。
池野は背後から首元をロックし、持っていたナイフで動脈を切り裂いた。
たちまちグニャリと状態を崩し動かなくなった。

『この感覚はなんだ.........。』

その日はやけに人の死体に恐怖を感じた。
いつもは何も感じなかったのに.....。
池野は夫婦の寝室を見つけると、部屋に入りナイフで夫婦を脅す。
2人を手持ちのワイヤーで拘束して動けなくした。

「あなた方の最期の望みを聞きましょう。」

池野は心の中で自分の言葉を疑った。
暗殺者である自分が人の死を哀れんでいる。
殺してしまう分、せめてもの罪滅ぼしをしようとしている。
今の台詞のオアが聞いたら目を疑うだろう。
現に自分が1番、今の言葉に驚いている。
すると、夫婦は口を開いた。

「娘を......。」

池野は旦那の方を見た。

「娘は....まだ君と同じくらいの歳なんだ。」

池野は、それ以上は聞か
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