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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百三十五話 波紋
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は簡単に決まった。本隊と別働隊に別れ、本隊はブラウンシュバイク、リッテンハイムを倒す事に専念する。別働隊は門閥貴族のヒンターランドである辺境星域を制圧し彼らの後退、増援を絶つ。
「問題は反乱軍がどう動くかですが……」
ワーレン提督が小首をかしげながら問題を提起した。その言葉に彼方此方で同意の声が上がる。
「確かにそうだが、あれだけ痛めつけたのだ。そう簡単に出てくるとは思えんが」
「いや、だからこそ出てくるとも考えられる」
ビッテンフェルト提督の否定的な意見にクレメンツ提督が反対した。
「どういうことかな、クレメンツ」
「メックリンガー、彼らには防衛体制を整えるための時間が必要だ。時間稼ぎのために辺境星域に出兵し、内乱を長引かせる事を考えるかもしれん、そう思わないか」
周囲がざわめきクレメンツ提督の言葉に同意する言葉が上がった。
「勝つためではなく、時間稼ぎのためか。無いとは言えんな」
「確かに」
ロイエンタール、ミッターマイヤーが呟く。確かにその可能性はあるだろう。
「捕虜を使えばいいだろう」
「捕虜?」
周囲の視線を集めたのはローエングラム伯だった。
「閣下、捕虜を使うとは一体……」
「反乱軍との間で捕虜を交換する。その中にこちらの工作員を入れ、反乱軍の間で内乱を起させれば良い」
自信のある策なのだろう。ルッツ提督の問いに答えた副司令長官の顔は上気している。
「問題は時間がかかる事だ。今から取り掛かると、反乱軍との間に話を付け交換が終了するまで三ヶ月、いや四ヶ月はかかるだろう。それをどうするかだ」
周囲から驚きのざわめきが上がり、副司令長官は隣に座る司令長官を見た。自然と皆の視線が司令長官に向かう。
司令長官は少し小首をかしげながら右手で軽く左腕を叩いている。副司令長官の案に驚いているようには見えない。何かを考えている。一瞬だが副司令長官の表情に苛立ちが走ったように見えた。
司令長官が腕を叩くのを止めた。そして僅かに姿勢を正す。自然と我々も姿勢を正し、司令長官の言葉を待った。
「捕虜交換、悪くないと思います。ですが、伯の言う通り時間的に余裕がありませんね」
「では、いかがしますか?」
ケンプ提督が問いかけた。
「そうですね。捕虜の交換自体は内乱終了後でいいでしょう。現時点では捕虜交換の約束だけでいいと思います。それで反乱軍の動きを抑えられるでしょう」
「……」
「反乱軍はシャンタウ星域の敗戦で兵力を大きく減じました。彼らにとって捕虜を返してもらえるというのは大きい。主戦論者も兵力増強のためとなれば大人しくなるでしょう」
「しかし、彼らが信じるでしょうか」
「確かに随分と騙しましたからね、信じてもらえないかもしれません」
「いえ、そういう意
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