第19話
[3/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ゼが涙を流しながら学院の裏手を歩いていた。
「……兄様のバカ…………いつもいつも……自分ばかり押し殺して……わたしのバカ…………いつも…………素直になれないで………」
立ち止まったエリゼは肩を落として呟いたが見覚えのない周囲に気付いて不思議そうな表情をした。
「………………どこかしら…………ここ?」
「君は……?」
するとその時パトリックが話しかけてきた。
「帝都にある”聖アストライア女学院”の制服だったか……どうしてこんな所にいる?」
「す、すみません……ぐすっ……」
「いや、別にその責めている訳じゃないぞ?そうだ……せっかくだし名乗っておこう。―――僕の名前はパトリック。パトリック・ハイアームズだ。聞いた事くらいあるだろう?」
涙を流したエリゼに慌てたパトリックは言い訳をした後自己紹介をした。
「ハイアームズ家の………お初にお目にかかります。シュバルツァー男爵家の娘、エリゼ・シュバルツァーと申します。」
「エリゼか………いい名前だな。ま、待て……!シュバルツァーと言うとリィン・シュバルツァーの妹か?」
エリゼがリィンの妹である事に気づいたパトリックは驚いた様子でエリゼを見つめた。
「?はい。リィンはわたくしの兄ですが。」
「くっ………よりにもよってあのいけ好かない男の妹とは…………待てよ、養子ということは血は繋がっていなく、この娘が本物のシュバルツァー家と言う訳か…………」
エリゼの事を知ったパトリックは唇を噛みしめた後ある事に気付いてエリゼの顔をジッと見つめたが
「―――どうやら兄と姉と何か確執がおありのご様子。ご不快にさせたくありませんので失礼いたします。」
パトリックが呟いた言葉から兄の”敵”である事を悟ったエリゼはパトリックを睨んだ後その場から走り去った。
「い、いや、別に不快ということは……」
エリゼが走り去るとパトリックは慌てて言い訳をして呼び止めようとしたが
「おい――――そっちは!」
エリゼが向かった方向―――魔獣が徘徊している旧校舎である事に気付いて真剣な表情で声を上げ、そしてエリゼの後を追った。
一方リィンはクロウの案内によってクロウがエリゼを見かけた所に向かい、旧校舎に辿り着いた。
〜旧校舎〜
「くっ……どこに行った?この建物には普段、鍵がかかっている筈だし……」
「パトリック……!」
パトリックを見つけたリィン達はパトリックに駆け寄った。
「お、お前……」
「おい、エリゼはどうした!?まさか俺の時みたいに絡んで恐がらせたんじゃないだろうな!?」
「そ、そんな事はしていない!僕はただ、彼女が涙ぐんでいたからどうしたのかと声
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ