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魔女に乾杯!
9部分:第八話
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第八話

                第八話 紫の魔女
 その次の日になった。華奈子は夕食を食べるとすぐに家を出た。
「華奈子、何処行くの?」
「ちょっと塾の皆と。約束があって」
 お母さんにはそう答える。そしてそのまま家を出た。
「行ったわね」
 美奈子はそれを見て何やら意味ありげに笑った。そして彼女もお母さんに対して言った。
「私勉強があるから部屋に戻るわ」
「ええ」
「お父さん帰ってきたら宜しくね」
 そう言って自分達の部屋に入った。そしてそのまま出ては来なかった。
 華奈子は学校に向かった。タロとライゾウも一緒である。
「華奈子、まだ着替えなくていいの?」
 タロはそう尋ねてきた。
「まだいいの」
「そう、だったらいいけど」
「早いとこしといた方がいいと思うけどね、おいらは」
 そんな話をしているうちに学校に着いた。既に他の四人は魔女の服を着てそこにいた。見ればそれぞれの使い魔達も連れている。春奈は蛙と亀、赤音は兎とハムスター、美樹はジュウシマツとインコ、そして梨花は蛇とトカゲであった。それぞれ特徴的な使い魔である。同時に彼女達のペットでもあるのだ。
「遅いよ、華奈子ちゃん」
「しかも魔女の服もまだだし」
「御免御免」
「だから言ったのに」
「先に着替えるもんだと思うけどな」
「こっちの服の方が動き易いもん」
 頬を膨らせてタロとライゾウに反論する。
「それにまだ九時じゃないし。じゃあ着替えるね」
「どうぞ」
 そして魔女の服に着替えた。それまで着ていた洋服が赤い魔女の服に変わる。
「これでいいでしょ」
「まあね」
 タロとライゾウはそれに一応は納得した。そして学校の時計を見上げた。
 見れば暗闇の中に校舎がそびえ立っている。昼は何とも思わなかったが今ではまるで巨人の様に無気味に感じる。
「何か怖いね」
「ええ」
 赤音が春奈の言葉に頷く。
「何か出るかも」
 美樹も少し怖いようである。梨花に寄り添っている。
 その校舎の中央の一番上に校旗がある。とりあえずはまだある。
 そしてそのすぐ下に時計が。そろそろ九時になりそうである。
「もうすぐね」
「うん」
 じっと時計を見る。時計は彼女達に応えるかのようにゆっくりと動いていた。
 遂に九時を指した。すると時間を告げるかのように何かが聴こえてきた。
「これって」
 それは笛の音であった。何処からか笛の音が聴こえてきたのだ。
「何処!?」
「あそこだよ、華奈子」
 ライゾウが教える。右手にある一本の大きな木を手で指し示した。この学校の名物である一本の大きなモミの木である。クリスマス近くにはツリーにもなる。
 その一番上にいた。横笛を吹きながらそこに立っている。一人の少女が暗闇の中に浮かび上がっていた
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